DHstyle 2025年夏号
12/22

54 DHstyle 2025 SUMMER 歯周基本治療後は、必要に応じて歯周外科治療、補綴治療、歯科矯正治療、インプラント治療などの「口腔機能回復治療」へと進んでいきます。この移行期に患者さんのセルフケアをもう一段階レベルアップさせておくことが重要です。この時期は、一見すると炎症も落ち着き、歯周組織の状態が安定することで、「治った」という安心感から、セルフケアへの意識が低下しやすい傾向もみられます。 また、治療中は歯科衛生士の関与が一時的に減るため、患者さん自身によるプラークコントロールが不安定になりやすいことも注意点の1つです。歯科衛生士の「手が離れる」ことで、継続的な支援に空白が生まれないよう意識する必要があります。そこで大切になるのが、まずは患者さんの特徴やニーズを再確認することです。たとえば、口腔内の変化に対して前向きになったのか、それとも「治療が終わった感」や「疲れた感」が出ているのか。こうした心の動きを見極めたうえで、治療内容に応じたOHI(口腔衛生指導)の再設計が求められます。⿟歯周外科処置では、術前・術後のセルフケアを徹底⿟補綴治療後では、ブリッジのポンティック部やマージン部のブラッシング指導⿟インプラント治療後では、インプラント周囲のプラークコントロール など このように、「治療内容に合わせたOHI」の視点をもつことで、私たち歯科衛生士は、歯周基本治療後の患者さんのセルフケア力を維持・強化する“橋渡し役”として、長期的なメインテナンスに繋げられます。 歯周基本治療後に補綴治療へ進むこのタイミングで、患者さんの状態やモチベーションをどう捉え直せばよいのか悩ましいところです。実際の臨床で、「どんな質問をすればよいか」、「どこを観察すればよいか」に迷うことがあると思います。ここでは、歯周基本治療後のモチベーションの変化や、セルフケア指導の再設計に役立つ観察ポイントを整理しました。口腔機能回復治療時口腔機能回復治療時下田裕子福岡県・水上歯科クリニック歯科衛生士モチベーションのチェックリスト(表1)セルフケアをレベルアップさせる患者さんの見かた——口腔機能回復治療〜SPT・メインテナンス編

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る