40 DHstyle 2025 SUMMER 歯周治療において、セルフケアの質は治療効果を左右する大きな要素です。なかでも歯周基本治療の時期は、患者さんの行動変容を促す大切なタイミングであり、この段階でのセルフケアの支援は、その後の治療の方向性や予後に大きく影響します。 しかし、患者さんの生活背景や口腔内の状態は多様であり、「ブラッシングを頑張っているのにプラークが残る」、「磨いているはずなのに炎症が改善しない」、そして「指導してもなかなか行動が変わらない」といった悩みに直面することも少なくありません。患者さんの理解度やモチベーション、生活背景、口腔内の状態は一人ひとり異なり、同じ方法ではうまくいかないことも多くあります。 本稿では、歯周治療において、歯科衛生士がどのように患者さんを“見て”、どのようにセルフケアを支援していくべきかを整理します。 セルフケアの指導を行うとき、ついついブラッシングについて説明しがちではありませんか? 患者さんの口腔内の状況が異なるように、モチベーションや性格、生活背景などはまったく違ってきます。そのため、現在のスキルや理解度を丁寧に観察し、個別の対応を欠かせません。 「モチベーションはあるけれど、やり方がわからない人」もいれば、「スキルは高いけれど継続が難しい人」もいます。また、生活背景によっては治療時間の制限やブラッシング時間の確保が難しい場合もあります。同じ“歯周基本治療中”というタイミングでも、患者さんの状況は千差万別です。そのため、患者さんのモチベーションやスキル、生活背景、口腔内の状態などのさまざまな情報を「問診票」などの媒体や「会話」、そして「行動」から読み取る必要があります。しかし、経験年数が浅い方や患者さんとの会話に自信をもてない方もいると思います。 本稿で示すチェックリストは、筆者が日々の臨床で意識している“患者さんの見かた”を整理したものです。すべてを毎回確認する必要はありませんが、「何を確認したらよいか?」、「どう伝えたらわかるか?」、そして「なぜその確認がセルフケア指導における患者ニーズの把握セルフケア指導における患者ニーズの把握下田裕子福岡県・水上歯科クリニック歯科衛生士セルフケアをレベルアップさせる患者さんの見かた——歯周基本治療編
元のページ ../index.html#10