DHstyle 2025年春号
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 POINT  初診時の考察 75歳、女性の患者さんで、娘さん(46歳)と一緒に来院されました。2の自発痛と2の残根を気にされてか、話すときに手で口元を隠しているのが印象的でした。 歯並びについても悩まれていたため、医療面接にて矯正治療に興味があるかおうかがいしたところ、「昔から歯並びは気になっていたのよ」、「い128 DHstyle 2025 SPRING 超高齢社会の今日、高齢者に対する歯科治療の選択肢も大きく変化しています。これまで欠損がある場合は、ブリッジや義歯、インプラントなどで咬合回復を図るのが主流でしたが、人生100年時代に突入し、より快適で審美的な治療が求められています。 当院でも、機能性と審美性を求める高齢の患者さんが増え、従来の補綴治療と併せて歯列矯正を行う症例が増加しています。こうした補綴治療と矯正治療の並行は、若年者には多く施されていま⃝患者:初診時(2019年11月)75歳、女性(図1)⃝主訴:上の前歯が腫れてズキズキ痛い。先週、口腔外科でみてもらい、痛み止めと抗生剤(抗菌薬)を飲んでいる。また、かかりつけ歯科医院では右下の歯を差し歯で治すと言われたが、歯並びもきれいにしたいため、他の医院の話を聞きたい。左下の奥歯のない部分にインプラントが入れられるか知りたい⃝現病歴・服薬状況:C型肝炎、不整脈、高血圧(降圧剤内服時の血圧130/60mmHg)、高コレステロール。アスピリンとクレストールを服用しすが、高齢者の場合はまだ知見が十分とはいえません。若年者と比べて、歯周組織へ負担がかかると予測されるため、細心の注意を払いながら、治療を進める必要があると考えています。 本症例では欠損を有する70代の高齢患者に対し、インプラントとアライナー矯正を用いて咬合再建を行いました。初診から歯周基本治療、矯正治療のコンサルテーション、治療計画立案でかかわった症例の経過を報告します。ている⃝診断:7、87、5はC2、その他、処置歯が多数みられる(図1b)。2は急性根尖性歯周炎(要感染根管処置:図2a)、2は残根、慢性根尖性歯周炎(要感染根管処置:図2b)Mai SASAKI佐々木麻衣愛知県・医療法人RJD RYO JIMBO DENTAL 名古屋駅前歯科・矯正歯科 主任歯科衛生士密なコミュニケーションで積極的な治療を提案高齢患者へのインプラント&矯正治療による咬合回復症例症例の概要

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