DHstyle 2025年秋号
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94 DHstyle 2025 AUTUMN 当院が所属するスタディーグループ「綾の会」は、発足から44年目を迎え、患者さんの引き継ぎを多く経験してきました。本連載では、その過程で得られた情報をみなさんにお伝えしていきます。 歯周治療やその後のメインテナンスでは、長期間にわたり患者さんとかかわることになります。しかし、メインテナンス期間が長くなればなるほど、最初に担当した歯科衛生士が継続して担当できるとは限りません。歯科衛生士は女性が圧倒的に多く、結婚・出産などのライフステージによる転居や退職が起きやすいのが現状です。担当の変更では、ベテランから経験の浅い歯科衛生士へ引き継がれるケースが多いため、患者さんを引き継ぐ歯科衛生士の精神的負担は大きいといえます。 いつ起こるかわからない引き継ぎに備えるために、誰にでもわかりやすいサブカルテの作成や資料の管理、患者さんへの声がけ、スタッフ同士のやりとりなど、引き継ぎしやすい環境を日ごろから整備しておくことが大切です。今回は、当院で日ごろから行っている患者さんの引き継ぎにかかわる工夫、コツを紹介します。なさんは、前任の歯科衛生士から患者さんを引き継いだ経験がありますか? そのとき、どのように引き継ぎましたか? 実際に担当することになり、困ったことはありませんでしたか? 患者さんからすると、慣れ親しんだ歯科衛生士から担当が代わり、初めは緊張していると思います。「前の歯科衛生士さんは優しかったけど次の人はどうかな」、「丁寧に診てくれるといいな」と、不安な気持ちでしょう。そんな患者さんに安心して受診してもらえるように、初めて担当するときから十分な準備をして臨みたいものです。 とくに、患者さんにとってセンシティブな情報(子どもの障害や離婚などの家庭の問題、婦人科系の疾患、悪性腫瘍など)は、信頼関係が構築されるまでは聞きにくいものです。信頼関係が出来上がっている前任者が最新情報を得て、後任者に引き継ぐことが重要です。2.引き継ぎの際、混乱を起こさないためのコツ1)前任者が在籍中に後任に担当を変える! みなさんは患者さんを引き継ぎ、前任者が退職した後に「困った! 聞き忘れたことがある!」という経験はありませんか? 当院では、退職直前まで患者さんを担当することはありません。退職が決まった段階で早めに後任に担当を変え、患者さんには前任者から後任者を丁重に紹介し、円滑に引き継ぎを行っています。早めに交代するこ1.引き継ぎ資料 「引き継ぎに必要な情報=患者さんを管理していくうえで必要な情報」です。本稿をお読みのみ継続した資料収集が役に立つ引き継ぎに必要な情報のポイントを整理しよう

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