❶ ライフスタイルの不規則化への対応❷ 自己流ケア・過信・不適切な口腔習慣への対応❸ 二次う蝕のリスクをチェックし、歯科医師と連携する【参考文献】 歯科衛生士は、初診やメインテナンス時にCRASPを通じて、患者の飲食習慣、就寝前の行動、ブラッシング頻度について把握し、現実的で継続可能な生活改善の提案を行いましょう。歯科受診の優先度が下がっている場合には、モチベーションを引き出す対話を通じて、定期受診の重要性を伝えることも歯科衛生士の大切な役割です。「むし歯になったことがないから問題ない」といった患者の過信や、健康志向からインターネットで得た誤情報に基づく自己流の口腔ケアは、う蝕リスクを助長する要因となります。フッ化物無配合の歯磨剤を使用している患者さんには、フッ化物の役割や有効性をわかりやすく伝え、信頼できる製品選びをサポートします。また、酸性飲食物を頻繁に摂取する習慣がある場合には、酸蝕症について説明し、頻度や代替案などを提案するなど、アドバイスを行います2)。オーバーブラッシングや磨き残しに対しては、ブラッシング指導を通じて圧のコントロールや技術の習得を支援し、患者のセルフケア能力を高める役割を担いましょう。過去に装着した修復物の劣化により、二次う蝕が生じる可能性が高まります。歯科衛生士は、定期的な口腔内チェックのなかで、修復物の辺縁に段差やプラークの付着がないかを観察し、リスクのある部位を記録しておきましょう。そのうえで、患者さんには歯間ブラシやワンタフトブラシなどの補助用具を用いたターゲット清掃の必要性を丁寧に説明しましょう。修復物の状態が不良であると判断した場合は、歯科医師に報告し、再修復の検討が行われるよう連携を図ることも重要です(図2)。図❶ 成人期のう蝕管理における勘所食習慣やブラッシングだけではなく、歯や修復物などの局所的なリスクもチェックしましょう図❷ 7インレーと歯質にギャップが生じている(黄矢印)。6辺縁エナメル質に亀裂が入り、う蝕を生じている(青矢印)特集 カリオロジーを知って活かす! これからのう蝕予防 571)相田潤,他:セルフケア指導脱!誤解と思い込み今はこうする!最新の解釈&臨床.高柳篤史(監),クインテッセンス出版,東京,2021.2)伊藤直人:齲蝕の“削らない治療”を担う歯科衛生士のためのカリエスコントロール5つのレシピ.医歯薬出版.東京,2025.
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