DHstyle 2025年秋号
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成人期 56 DHstyle 2025 AUTUMN1.ライフスタイルの不規則化 多忙な日常により、食事時間の乱れや間食・飲酒の習慣化がみられます。加えて、疲労による「寝落ち」などでブラッシングが不十分になりがちです。歯科医院への受診も後回しにされやすく、口腔管理の質が低下します。2.自己流ケア・過信・不適切な口腔習慣 「長年むし歯になっていないから大丈夫」といった過信から、歯科的な管理を怠る傾向があります。また、誤った情報に基づいた自己流のケアに加え、ブラッシング方法の誤りによるオーバーブラッシングや磨き残しも見られます。 さらに、健康志向の一環としてフッ化物無配合の歯磨剤を選択したり、酸性飲食物を頻繁に摂取することで酸蝕症を招くなど、う蝕リスクをさらに高めることがあります。3.二次う蝕のリスク 過去に装着した修復物が経年的に劣化することで、辺縁不適合、摩耗、脱離などが生じやすくなります。これにより、修復物周囲から二次う蝕が発生するリスクが高まります。 ライフスタイルを問診で把握し、対話を通じて無理なく続けられる改善案を考えます。誤情報や過信による自己流ケアには正しい知識を伝え、適切なセルフケア習慣を提案します。修復物の劣化や二次う蝕のリスクをチェックして、必要に応じて歯科医師へ報告します。さらに、メインテナンスの重要性を伝え、患者のモチベーションを引き出し、継続的な受診に繋げます(図1)。 成人期は就職、結婚、出産、子育てなど、環境の変化が絶えずあります。社会的・家庭的な責任が増すとともに多忙になってくるため、症状がなければ受診しないことも多く、口腔ケアの優先順位が下がりやすい時期です。 また、「う蝕は子どもの病気」という誤解が根強く1)、症状が出てから初めて気づくケースが多く見受けられます。さらに、過去の修復物の劣化から二次う蝕を発症するリスクがあります。成人期(20〜65歳)成人期(20〜65歳)おもなリスク要因と予防戦略歯科衛生士の役割・実践的介入

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