歯科で活躍する管理栄養士 栄養指導・必携マニュアル
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APTER 21C1)。H042「しっかり嚙めない人」の長年の食習慣の偏りは、低栄養状態によるフレイル、骨格筋量や骨量が減少するサルコペニア・ロコモティブシンドローム、そして生活習慣病発症への下地を作ります。ここで、フレイルとサルコペニアという2つの概念について、どのような状態なのかをおさらいしておきましょう。「サルコペニア(sarcopenia)」はギリシャ語の「筋肉(sarco)」と「喪失(penia)」を合わせた造語で、筋肉量が減少して全身の筋力や身体機能が低下している状態を指します。「フレイル」はfrailty(虚弱)がもとになった単語で、加齢や疾患によって身体や心のさまざまな機能が衰え、ストレスに対する脆弱性がみられる状態を広く指す言葉です。身体の衰え以外にも、認知症などの精神的な問題、独居による社会的困窮といった問題も含み、要介護に至る一歩手前の状態とみなされます1,2)。「ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)」とは、骨や関節・筋肉などの機能の障害のために、立つ・歩く・階段を上るなど、身体の移動機能が低下した状態のことです3)。筋力が衰えるサルコペニアは、ロコモティブシンドロームに至る要因の一つです(図日本サルコペニア・フレイル学会で現在推奨されている診断基準はAWGS20194) サルコペニアとフレイルの定義 サルコペニアの検査と診断基準1.サルコペニアの検査の流れ歯科で見つけるサルコペニア・フレイル

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