明日から役立つ歯科アレルギーの世界
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3 歯科臨床における局所麻酔薬アレルギー41局所麻酔薬の種類とアレルギーとの関連 一方、わが国における発症頻度について、光畑は1987〜1998年のリドカイン(キシロカイン®)販売数からリドカインによるアナフィラキシーの発症頻度は、0.00007%(1/100万〜1/150万人)と推測している6)。 歯科治療時の異常反応から局所麻酔薬アレルギーが疑われた患者の原因を調査したオーストラリアの報告では、局所麻酔薬アレルギーが疑われた患者205人中、2名が局所麻酔薬、2名が添加物(メチルパラベン)に対する即時型(Ⅰ型)アレルギーであり、4名が遅延型(Ⅳ型)アレルギーであった7)。同様の英国の報告では、局所麻酔に伴い異常反応を呈した患者141人に対してアレルギー検査を実施し、局所麻酔薬に対するアレルギーと診断された患者は皆無であった8)。2010〜2014年までの5年間にデンマークのアレルギー外来で局所麻酔薬アレルギーの検査を受けた164人全員が、誘発試験(DPT)で陰性であったことが報告されている5)。 1950〜2011年の間に局所麻酔薬アレルギーが疑われた患者を診断した研究のメタアナリシスによると、2,978名のうち即時型(Ⅰ型)アレルギーと認定された患者は29名であり、局所麻酔薬アレルギーが疑われた患者の1%未満(29/2978例:0.97%)であることが判明した9)。このように局所麻酔薬による即時型(Ⅰ型)アレルギーは極めてまれであることがわかる。2.局所麻酔薬による遅延型(Ⅳ型)アレルギーの発生頻度は? 局所麻酔薬が、遅延型(Ⅳ型)アレルギーの原因物質であると診断された患者は2.4〜3.4%で10,11)、年々増加傾向にある。これは一般用医薬品(Over-the-counter drug:OTC)に高頻度に局所麻酔薬が配合されるようになったことが原因と考えられている。2009〜2013年のカナダでの調査では、アレルギー性接触皮膚炎を疑われパッチテストを受けた1,819人のうち、2.4%が局所麻酔薬に対するアレルギーであり、抗原としては、ベンゾカイン(1.08%)、リドカイン(0.77%)、ジブカイン(0.55%)の割合であった12)。2016〜2019年の同様の調査では、リドカインによる遅延型(Ⅳ型)アレルギーの発生率は、2.3%と増加している13)。現在、約300種以上の製品に局所麻酔薬が配合されている。たとえば鎮痛・鎮痒剤、殺菌消毒剤、肛門用剤などにも含まれる。これらの薬剤は、バリアの破壊された皮膚炎症部、外傷部に繰り返し使用されることが多く、吸収され、感作される可能性が高いという。 現在、使用されている歯科用局所麻酔薬は、その構造から、エステル型とアミド型の2種類に分類される(表1)。エステル型はアミド型に比べてアレルギー発症の頻度が高いと考えられている。1.エステル型局所麻酔薬 エステル型局所麻酔薬は、表面麻酔薬のベンゾカイン(アミノ安息香酸エチル)として多く用いられている。アミド型局所麻酔薬に比べて遅延型(Ⅳ型)アレルギーを発症しやすい。エステル型局所麻酔薬は血漿中のブチリルコリンエステラーゼで加水分解され、パラアミノ安息香酸(para-aminobenzoic acid:PABA)が産生される。PABAには強い抗原性があり、抗体産生やTリンパ球の感作を促すためアレルギー反応を起こしやすい。PABAは防腐剤であるメチルパラベンと化学構造が類似しており交差抗原性を示す。メチルパラベンは医薬品、化粧品、歯磨剤など多くの日用品に添加されており、日常的に曝露し、感作されている可能性が高い。メチルパラベンに過敏症のある患者へのエステル型局所麻酔薬の使用はPABAを介したアレルギーを発症する可能性がある。2.アミド型局所麻酔薬 アミド型局所麻酔薬は、歯科用局所麻酔薬カートリッジ製剤として頻用されている。エステル型局所麻酔薬に比べてアレルギー発症の頻度は極めて低いと考えられ、局所麻酔薬そのものによるアレルギー反応よりも添加されている防腐剤や酸化防止剤によるアレルギー反応の頻度が高いといわれている。

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