18獨協医科大学医学部 皮膚科学講座井川 健表❶ おもなアレルギー疾患の有病率1)疾患名アレルギー性鼻炎(花粉症含む)40〜50%日本で最も多いアレルギー疾患。とくにスギ花粉症は増加の一途気管支喘息アトピー性皮膚炎食物アレルギーアレルギー性結膜炎推定有病率14.7%16.3%15.8%22.2%成人喘息が増加傾向にあり、高齢者の新規発症乳幼児だけでなく、成人・高齢者の有病率も高止まり、あるいは微増傾向過去10年で急増。とくに「木の実類(クルミなど)」アレルギー花粉症の合併として多くみられるおもな動向・特徴②医療提供体制の整備:国立成育医療研究センアレルギー疾患全体の最新動向 かつては「全人口の約50%」といわれていたが、最新の全国調査では、国民のおよそ3人に2人(60%強)が何らかのアレルギー疾患を有していると報告されている1)。 表1はおもなアレルギー疾患の有病率を近年の大規模疫学調査1)から算出された最新の数値である。また、これらの数値は、程度の差はあるものの、いずれも横ばいから増加傾向を示している。 疫学的な傾向として最近のアレルギー疾患において特徴的なものを3つ挙げるとすれば以下のようである。これ以外に、都市部だけでなく地方でも患者数が増加していることも挙げられる。1.食物アレルギーの原因における「木の実類」の急増 厚労省の調査(2023〜2025年報告)では、食物アレルギーの原因としてクルミ(木の実類)が鶏卵、牛乳に次いで第3位(場合によってはより上位)に浮上しており、2025年には表示義務の完全施行など対策が強化されている2)。これは、日本で特有のものと考えられ、食生活の変化が影響していると考えられる。2.花粉症の低年齢化と重症化 5〜9歳といった学童期での有病率が30%を超えるなど、発症年齢のさらなる低下が確認されている1)。3.高齢者のアレルギー増加 「アレルギーは子どもの病気」という概念が変わり、加齢に伴う免疫バランスの変化や環境要因により、60代以上で初めて喘息や鼻炎を発症するケースが統計的に無視できない割合(全体の30%以上)になってきた1)。 アレルギー疾患の深刻化を受け、行政の取り組みとして、2014年に「アレルギー疾患対策基本法」が成立した。この法律の主眼は、居住地域にかかわらず、国民が等しく科学的知見に基づいた適切なアレルギー医療を受けられる体制を整えることにあった。 2017年に策定され、その後、つど改定が進められている「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針(基本指針)」では、以下の3点が重点事項として掲げられている3)。①疫学研究の推進:発症頻度や重症度の全国的な実態把握アレルギー疾患の現状
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