藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科/藤田医科大学医学部 先端アレルギー免疫共同研究講座/藤田医科大学総合アレルギーセンター矢上晶子126金属による接触皮膚炎とは局所型金属アレルギーの原因、症状など 金属による接触皮膚炎は、日常診療において頻繁に遭遇する代表的なアレルギー性皮膚疾患である。金属は装飾品や日用品など身近な製品に広く使用されており、原因に気づかれないまま皮膚炎が慢性化する症例も少なくない。とくに遅延型アレルギーという病態特性から、発症と曝露との因果関係がわかりにくく、診断や原因検索に難渋することがある。 一方で、金属アレルギーを自覚しながらも医療機関を受診せず、診断がなされていない潜在的な患者も多く存在すると考えられる。アクセサリーによるかぶれなどの経験を背景に、歯科治療時に金属アレルギーの有無を気にする患者は少なくないが、その皮膚症状の原因が実際に金属アレルギーであるかどうかを判断することは、必ずしも容易ではない。 本項では、金属による局所型金属アレルギー、すなわちアレルギー性接触皮膚炎を中心に、その疾患概念、臨床症状、検査、治療および生活指導について整理し、診療における理解の一助とすることを目的とする1,2)。 金属による接触皮膚炎は、皮膚に接触した金属を原因として生じる遅延型のアレルギー性皮膚炎であり、免疫学的にはⅣ型アレルギー(遅延型アレルギー)に分類される。抗体が関与する即時型アレルギーとは異なり、感作T細胞を主体とした細胞性免疫反応によって発症する点が特徴である。金属は低分子物質であり、それ自体には抗原性をもたない。しかし、皮膚表面に接触した金属が金属イオンとして溶出し、皮膚内タンパク質と結合することで抗原性を獲得する。いったん感作が成立すると、同一金属への再曝露時にT細胞依存性の炎症反応が惹起され、皮膚炎が発症する。 臨床的には、皮疹は金属が直接接触した部位に一致して出現することが多く、境界明瞭な紅斑、丘疹、浸潤、水疱などの湿疹性病変を呈する。 このように、金属による接触皮膚炎は、遅延型アレルギーという免疫学的特性と、接触部位に一致した特徴的な皮疹分布を示す疾患である。皮疹の出現時期と金属曝露との関係を丁寧に評価することが、診断における最も重要な第一歩となる。 金属アレルギーは臨床的に、皮膚に直接接触した金属によって発症する「局所型金属アレルギー(アレルギー性接触皮膚炎)」と、体内に取り込まれた金属により全身症状を呈する「全身型金属アレルギー」に大別される。前述したとおり、日常診療で最も遭遇頻度の高い、皮膚に接触して生じる局所型金属アレルギーを中心に述べる。1.局所型金属アレルギーの原因製品とおもな金属 金属による接触皮膚炎の原因となる製品は多岐にわたる。装飾品では、ピアス、イヤリング、ネックレス、指輪、腕時計、ベルトのバックルなどが代表的であり、原因金属としてはニッケルが最も頻度が高い。これに加え、金やコバルトが原因となることもある。 日用品では、硬貨、眼鏡、ドアノブ、携帯電話、玩具などが挙げられる。眼鏡については、1 | 接触皮膚炎(金属) ――局所型金属アレルギー(アレルギー性接触皮膚炎)を中心に5
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