明日から役立つ歯科アレルギーの世界
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東京科学大学病院 義歯科(専)歯科アレルギー外来松村茉由子東京科学大学病院  義歯科紅谷龍一郎60図❶ a:5装着中の仮封冠、b:仮封冠装着後の多発性口内炎歯科材料アレルギーの概念と発生機序各種材料におけるアレルギー 歯科治療に使用される材料には、高い機械的性質や審美性とともに、生体適合性が強く求められる。しかし実際には、歯科材料に含まれる金属イオン、メタクリレートモノマー、重合開始剤、可塑剤、添加剤、香料成分などさまざまなものが免疫応答を誘導し、アレルギー反応を引き起こし得ることが知られている。その多くはⅣ型アレルギー反応(遅延型過敏反応)であり、口腔粘膜に紅斑、浮腫、灼熱感、びらん、潰瘍などの症状を生じる(図1)1〜4)。さらに一部では即時型反応に類似した急性症状を呈する例も報告されている5)。 アレルギー反応は、材料そのものの化学的性質に加えて重合条件や残留モノマー量、揮発成分の飛散、装着後の経時的な成分溶出など、操作因子および口腔内環境に大きく依存する3,4)。口腔内は湿潤環境下かつ温度変化が大きく、機械的刺激や微生物叢の存在も材料劣化を促進するため、皮膚とは異なる複雑な曝露状況となる。また、歯科医療従事者は、材料の混和、充塡、光照射、研磨操作などで硬化前のモノマーや粉塵に反復曝露されるため、職業性接触皮膚炎のリスクが高い。とくにメタクリレート系レジンやボンディング材、消毒薬、ラテックスグローブなどは、職業性アレルギーの原因として数多く報告されており6,7)、適切な防護具と作業環境の管理が不可欠である。このように、歯科材料アレルギーは患者にとってのみならず、歯科医療従事者の健康にもかかわる重要な課題であり、材料選択と操作管理の双方から体系的な対応が求められる。1 .メタクリレート系レジン材料1)常温重合レジン 常温重合レジンは、粉末成分として ポリメチルメタクリレート(PMMA)と過酸化ベンゾイル(BPO)、液成分としてメチルメタクリレート(MMA)を主体とし、これに第三級アミンを重合促進剤として含む8,9)。BPOとアミンの酸化還元反応によりラジカルが発生し、室温下で重合が進行する。義歯修理や暫間補綴装置などに広く用いられており、操作性に優れる一方で、硬化操作中および硬化直後に未重合モノマーが歯科材料アレルギー6

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