規模の大小を問わず、歯科医院には常に「人」の問題がつきまといます。院長は、日々患者さんと向き合いながら、社会や地域の変化への対応、技術の研鑽やテクノロジーの導入などを通じて、医院全体をアップデートし続ける役割を担っています。そうした医院運営のなか、人と向き合うことに割かれる時間と精神的な労力は決して小さなものではありません。スタッフからの要望や不満を受け止め、スタッフ間の調整を行い、ときには急な休暇や退職への対応に追われることもあります。その積み重ねのなかで、私たちは知らず知らずのうちに精神をすり減らし、気づかないうちに、心に重さを抱えています。「院長とは、こんなにも孤独で、しんどい仕事だったのだろうか」そんな問いが、胸をよぎることもあるのではないでしょうか。本書は、『10時間でわかる歯科経営学』に続く2冊目として、多くの院長が直面する「人」と「組織」の課題に向き合うために執筆されました。本書を監修する Dent×Biz Association(DBA)は、MBAを修了した歯科医師・歯科衛生士が集うグループです。われわれは、経営を「感覚」ではなく「科学」として捉えています。それは、臨床において診査・診断、治療計画の立案、治療、再発防止を通じて患者さんを健康へと導くプロセスと本質的に同じ考え方です。これまで歯科医院につきものとして解決を諦められてきた多くの事柄は、「人」と「組織」の問題として捉え直すことで解決可能な「課題」となります。経営学的な視点で現状を整理し、構造として理解し、打ち手を設計する。それらを医院の構造や人事の仕組みに落とし込み、スタッフと共有しながら運用していくことで、医院を前に進めていくことは可能なのです。本書は、特別な成功事例を示すためのものではありません。環境や立場の違いを超えて、すべての歯科医療従事者が、自ら大切にしている考え方を、無理なく持続可能な形で現場に反映させるための1冊です。歯科医療と誠実に向き合い続けているすべての方にとって、日々の悩みや迷いを整理する手がかりとなり、次の一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。明治歯科診療所新見 隆行発刊にあたって
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