48巻頭特集 下顎最後臼歯遠心部は、歯周組織再生療法において難易度の高い部位の一つである。この部位では、レトロモラーパッド周囲の筋群や、浅い前庭に伴う角化歯肉幅の不足といった解剖学的特徴に加え、清掃困難性や咬合性外傷など複数のリスク因子が関与すると報告されている1,2)。 さらに、最後臼歯遠心部では術野の視認性や器具到達性にも制限があり、十分なデブライドメントや根面処理が困難となる場合が少なくない。加えて、可動性粘膜や筋の牽引により術後の創傷安定性が損なわれやすく、創部哆開やメンブレン露出を引き起こしやすい点も、本部位における歯周組織再生療法の予知性を低下させる要因と考えられている3,4)。 また、下顎最後臼歯遠心部では、付着歯肉の不足や頬舌側方向への骨欠損の拡大、根分岐部病変を伴う症例も多く、従来の切開デザインでは十分なプライマリークロージャーを獲得できない場合がある。そのため、本部位に対する歯周組織再生療法では、「いかに創傷安定性を獲得できるか」が極めて重要となる5)。 このような背景から筆者らは、下顎最後臼歯遠心骨欠損に対し、遠心部軟組織の保存による創傷安定性およびプライマリークロージャーの獲得を目的とした切開デザインとして、L-EPPT(Last molar Entire Pad Preservation Technique)を考案した6)。 本稿では、下顎最後臼歯遠心部特有の解剖学的・臨床的問題点を整理したうえで、L-EPPTのコンセプトおよび特徴について概説し、その臨床応用例について紹介する。 下顎最後臼歯遠心部では、歯周組織再生療法を阻害する複数の因子が存在する7)。① レトロモラーパッド周囲には可動性粘膜が多く存在し、術後の創部に張力が加わりやすい。 下顎最後臼歯遠心部が難しい理由川名部 大Dai KAWANABE東京都・医療法人大明会 川名部歯科医院下顎最後臼歯遠心骨欠損に対する新たなアプローチ低侵襲歯周組織再生療法L-EPPT
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