デンタルダイヤモンド 2026年6月号
15/17

患者が真に求めるホワイトニング とは? 術前のカウンセリングが鍵56 近年、患者のホワイトニングに対する関心や期待はますます高まっており、「輝く白い歯」へのニーズは歯科医院にとって新たな価値創出の機会となっている。これまでホワイトニングはおもに歯科医院で提供される医療行為として認識されてきたが、最近ではサロン等で行われる、より安価で手軽に利用できるセルフホワイトニングが一般化している。これらは、歯科医院に先駆けて市場ニーズに応えるものとなっており、一定の価値を提供している。 このような背景から、歯科医院におけるホワイトニングも、その意義を再定義し、独自の価値を明確に打ち出す必要性が高まってきた。そこで、専門学会や歯科材料メーカーの後押しもあり、「医療ホワイトニング」という概念がセルフホワイトニングとは一線を画す歯の漂白法として確立されてきたわけである。近年では医療ホワイトニングという概念も徐々に国民に認知されつつあり、本稿では改めて、患者のみならず医院価値を高めるホワイトニングとは何かを再考したい。 ホワイトニングの歴史を振り返ると、1990年代、ブラウン管テレビから流れるCMが大きな影響力をもっていた時代、「芸能人は歯が命」という強烈なキャッチコピーとともに登場した日焼けした某芸能人の姿が、いまなお記憶から蘇る。このフレーズは当時としてはセンセーショナルであり、第一印象における歯科審美の重要性という米国的価値観を国民に広く浸透させる契機となった。 その後、2000年代初頭には、阪神タイガースからニューヨーク・メッツへ移籍した某野球選手がセラミック修復による極めて白い歯(Toilet Bowl White Smile)で注目を集め、これが一時的なトレンドとなったことも想起される。 当時はこうした新たな価値観を全面的に受け入れ、ホワイトニングを含む審美修復治療を希望して来院する患者は限定的であった。しかし、四半世紀が経ったいまでは、高い審美性の獲得を求めて患者が歯科医院を訪れることが当たり前の時代となっている2)。 すなわち、現代の患者がホワイトニングに期待する効果は、従来と比較してより高度な白さを求める傾向が強まっていることとなる。とくに、新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、オンライン会議やビデオ通話の機会が増加したことに加え、SNSの普及により、画面越しや写真上でも視覚的に際立つ白さを有する歯への関心がこの傾向を増長しているものと考えている。 実際、愛知学院大学歯学部附属病院 審美歯科診療部におけるホワイトニング施術前のアンケートにおいても、多くの患者がB1以上の色調を治療の到達点として希望していることがあきらかとなっている。さらに、この傾向は特定の年齢層に限らず広く認められ、ホワイトニングに対しては、われわれの想像をはるかに上回る高い審美性の改善を期待する患者が大勢であるのが実状である。 当診療部のホワイトニングにおける術前カウンセリングでは、患者の期待に沿って治療回数・期間・費用を明確に提示することを重

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る