デンタルダイヤモンド 2026年6月号
13/17

 多くの臨床現場で推察されているように、歯根破折に至る患者には以下のような共通点があると考えられる。•噛みしめ力が強い•歯ぎしりやくいしばりの習癖•極端に硬い食材を好む•骨隆起や「臼歯部の著明な摩耗」を認める•下顎角の過剰発達や内骨症の存在(X線所見:[図5・後述])•エラが張った顔貌•顎関節症の既往•起床時の顎や首・肩の張り、頭部の違和感 これらの所見は、日常的に咬合力が過剰であることを示唆している。とくに、朝起床時に顎関節や頭頸部の緊張を訴える患者の一定数は、夜間を中心としたくいしばりや噛みしめ、歯ぎしりなどが主因であると考えられる。 日常生活で過剰な咬合力をかけている患者には、生活面の改善と歯科治療による咬合力コントロールの両面からアプローチしている。比較的十分な効果が得られているため、本特集ではその実践を紹介する。1.診査 咬合力の過剰が疑われる患者に共通してみられる臨床所見を表1に示す。問診・視診・触診・画像診断の各段階で咬合力の影響を多面的に評価することが重要である。2.検査 咬合力過剰が疑われる場合、複数の機能評価を組み合わせて診断精度を高める。筋活動46 現在、日本人が歯を失う原因のうち、「破折」は第三位に位置づけられている。この歯根破折は、当院においても喫緊の課題となっているが、生活歯の破折は、コンタクト付近のわずかなエナメル質のチッピングから始まることが多い印象である。さらに、臼歯部のエナメル質が咬合力で霜柱の塊のように欠け落ちる症例を、永久歯・乳歯を問わず経験してきた。 破折や亀裂が歯冠部のみにとどまる場合、すぐに抜歯に至ることは稀である。厚生労働省の統計で示される「破折」による歯の喪失とは、多くの場合、歯根破折を指している。当院には、自分の歯をできるかぎり残し、生涯にわたり自歯で食事を楽しみたいと希望する患者が多く来院する。そのため、医院全体で破折予防に取り組んでいる。 なかでも抜歯に直結する歯根破折は、なぜ起こるのか。筆者は学生時代に保存学の授業で聞いた説明を、いまでも患者指導に活用している。 「神経を取った歯は枯れ枝で、神経が残る歯は若木。キャンプで薪割りをする際、適しているのは枯れた木材であり、若い木は斧で割ろうとしても跳ね返る。歯も同じで、神経を抜いた歯は割れやすい」 とはいえ、根管治療を施した歯がすべて破折に至るわけではない。特定の条件が重なった場合に、歯根破折が生じやすくなると推測される。 歯根破折を予防する 咬合力のコントロール 歯根破折が起こる理由 歯根破折に関連する共通点 過剰な咬合力に対する 診査・検査・診断

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る