デンタルダイヤモンド 2026年6月号
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 本症例は74歳男性で、前歯部のフレアアウトおよび欠損の進行を認め、咬合支持の低下に伴う全顎的な補綴治療介入が必要と判断した(図1)。補綴主導型の設計では、単に現在の欠損部を補うだけでなく、①固定性か可撤性か、②インプラントを使用するか否か、③咬合高径・咬合平面をどの程度再構成するか、④残存歯の扱いを含めた補綴主導の意思決定を総合的に評価することが重要である。 本症例では、上顎残存歯の保存性や清掃性、将来的な欠損拡大のリスクを踏まえ、上顎は総義歯による可撤性補綴を選択した。一方、下顎については、咬合支持と義歯の安定を確保する目的でインプラントを併用し、現時点での機能回復と将来的な拡張性の両立を図った。咬合高径および咬合平面は、過度な再構成を避けつつ、義歯の安定、前歯部の被蓋、臼歯部支持の回復を考慮して設定した。  補綴主導型の治療計画は、単に歯の欠損部を補う技術的手段ではなく、患者の口腔機能、審美的満足、さらには生活の質(QOL)全体に関与する包括的な戦略である。 とりわけ現代は、患者の価値観やライフス42巻頭特集 また、今後さらに欠損の拡大が認められた場合には、下顎3・4・6部へのインプラント追加を計画し、IODあるいはボーンアンカードブリッジへの移行も視野に入れている。すなわち、現在の治療を最終形と固定的に考えるのではなく、残存歯の予後、患者の年齢、生活背景、メインテナンス性を踏まえながら、段階的に発展可能な補綴設計とした点が本症例の特徴である。このように、補綴主導の視点から、固定性・可撤性、インプラントの適応、咬合再構成、残存歯の扱いを統合的に判断することが、長期的な安定と患者QOLの維持・向上に繫がる。 補綴主導型治療計画の 本質を整理する 補綴主導型治療計画の 本質を整理する相宮秀俊Hidetoshi AIMIYA愛知県・吹上みなみ歯科補綴を起点とした総合的なアプローチ

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