見える化可視化•情報を見ようとする意志が必要 (任意のタイミングで把握する)•把握した情報をどのように判断や活用に繫げるかは、主体者に委ねられる表❷ 見える化と可視化の違い•情報を見ようとする意志にかかわらず、見える状態 (重要なタイミングで必然的に把握する)•把握できた情報に対する判断基準が関係者で共通認識されており、適切な行動に繫がる33 前述のように、SBとABは併存しているとも考えられており、一部の研究では、SBをもつ患者の約30〜50%がABも併発していると報告されている1)。 また、筋活動の持続性として、睡眠中の咬筋活動が起床後も持続し、顎のこわばりや痛みとして認識されることがある。患者の起床時の「顎が痛い」「偏頭痛がする」という言葉に、その影響が現れていると考えられる。そして、日中の片側噛みなども、SBの影響である可能性を否定できない。 そして、ストレスとの関連も指摘される。SBとABは、ともに心理的ストレスや不安、緊張が誘因となるため、共通の背景要因をもつ可能性が高い。 しかしながら、その評価および診断には難しさが伴う。ABは自己申告や観察で評価可能ではあるが、睡眠時は終夜ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)などの客観的検査が必要で、診断方法が異なる。加えてPSG検査では、SBの回数や噛みしめ強さまで詳細にはわからないので、ウェアラブル機器による睡眠時歯科筋電図検査を用いるのが適切であるといえる。 人間の五感による知覚(情報判断)の割合は、「視覚83.0%、聴覚11.0%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1.0%」といわれており2)、視覚からの情報収集は非常に重要である。 そして、視覚情報は脳に残りやすく、文章や数値だけよりも記憶に残りやすい。可視化3)や数値化は、単なる「見える化」4)ではなく、個人の意思決定を支える強力なツールとなり得る(表2)。また、見える化は「見やすさ」だけではなく、医療の質・安全性・効率性を高めるための重要な手段ともなる。 従来のSBの場合、起床時の自覚症状(顎の疲労感、歯の接触癖など)や問診、複数の口腔内所見や触診などから診査して診断を下すことが多い(表3)。しかしながら、「筋電計による歯ぎしり検査の基本的な考え方」5)では、図1のように示しており、見える化と可視化が求められている状況である。 そして、そもそも患者自身もSBに気づいていないことが多く、説明しても「眠れているからとくに問題ない」と、どこか他人事と捉えられることもしばしばである。そのため、積極的な数値化・見える化・可視化は必要であるといえる。 関係性と相互影響 見える化と可視化
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