デンタルダイヤモンド 2025年12月号
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26巻頭特集 コロナ禍以降、セルフメディケーションの高まりもあり、自己のライフスタイルやQOLを見直す人々が増加した。そのようななかで三大欲求の1つである睡眠は、多くの方が見直したことの1つであろう。睡眠に関するトピックスは、世間的にも目にする機会が増えていると感じる。 睡眠覚醒を制御する神経伝達物質「オレキシン」の発見により、ノーベル賞候補に挙げられている国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史機構長は、多くのメディアでその姿を目にする1人である。その研究は、睡眠の神経科学的な実体や、「なぜわれわれは眠らなければならないのか」という、根本的な睡眠と覚醒のメカニズムの解明に取り組んでいる。また、睡眠の理論だけではなく、実用的な治療法にも直結しており、睡眠の質を向上させるための新しいアプローチや、従来の睡眠薬とは異なる作用機序をもつ新しい不眠症治療薬の開発に繫がった。 さらに、最近では、「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)」も、メディアなどでよく見聞きするようになった睡眠関連トピックスの1つである。この概念は、ドイツの時間生物学者ティル・レーネバーグ(Till Roenneberg)教授が2006年に提唱した1)。具体的には、平日と休日で就寝・起床時間が大きく異なることによって、体内時計が乱れ、まるで時差ボケのような状態になることを指す(図1)2)。現代のライフスタイルに深く関係しており、睡眠の質や健康にさまざまな影響を与えることが、研究であきらかになっている。 睡眠はリズム運動でもあるため、1度ずれてしまったリズムをもとに戻すのは容易ではない。週明けの前半まで眠気や日中の疲労感を引きずってしまうという報告もある3)。 ソーシャル・ジェットラグの対策としては、 メディアに注目される睡眠藤巻弘太郎Kotaro FUJIMAKI東京都・ぶばいオハナ歯科開業医が知っておきたい睡眠歯科のトレンド

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