デンタルダイヤモンド 2025年12月号
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◉るのに役立つ。2.なぜ重要なのか セファロ分析が重要な理由を以下に述べる。1)見た目だけではわからない問題を可視化 問題が歯にあるのか、骨格にあるのかを明確に判断できる。2)小児・思春期では成長方向を予測できる 成長期の顎の前後関係や成長の方向を把握することで、治療を始める適切なタイミングが見極めやすくなる。3)治療のゴールを設定しやすい 科学的、数値的根拠が加わり、より精度の高い治療計画を立案でき、患者の理解・納得も得やすくなる。4)骨格や歯軸のズレの程度を知ることがで 骨格や歯軸のズレを知ることにより、抜歯や非抜歯の判定、または外科手術が必要かどうかの判定にも用いられる。5)患者の骨格パターンを理解できる 骨格パターンにより不正咬合の特徴があり、治療計画の立案の参考になる。 セファロ分析がなければ、「どこを治すべきか、どのように治すべきか、結果がどうなるか」を正確に予測することは困難である。このように、より安全で効果的な矯正治療を行うためには、欠かせないツールといえる。3.治療方針の決定 矯正治療では、抜歯か非抜歯かの判断や歯列拡大の適応、外科矯正の必要性を決める際に、セファロ分析は欠かせない役割を担っている。一般歯科においても、矯正専門医へ紹できるきる セファロ分析の基礎知識52 歯科臨床において、咬合や歯列の問題には日常的に遭遇するが、その背後には骨格的な要因が存在していることが多い。一般の歯科医師は補綴や保存、歯周治療を中心に診療を行っているが、治療の長期安定性や患者の審美的要求を考慮する際には、骨格的背景の理解が欠かせない。 側面頭部X線規格写真(cephalogram:以下、セファロ)は、顎骨や歯列、顔貌の位置関係を客観的に評価できる数少ない検査法であり、矯正専門医だけではなく一般の歯科医師にとっても有用な診断手段である。しかし、日常臨床においてセファロ分析が十分に活用されているとはいいにくいのが現状であろう。 本稿では、一般の歯科医師がセファロ分析を理解し、臨床に活かす意義について概説する。1.セファロ分析とは セファロとは、頭部を規格化した条件で撮影される側面頭部X線写真のことである。通常のデンタル・パノラマX線写真が歯列や顎骨の一部しか映さないのに対し、セファロでは頭蓋骨、上下顎骨、歯列、さらに軟組織のプロファイルまで同時に観察できる点が特徴である。 セファロ分析では、特定のランドマーク(例:S点、N点、A点、B点、Go点など)を基準に角度や距離が測定され、上下顎の前後的な位置関係や垂直的なバランス、歯の傾きなどが数値化される。これにより、骨格そのものの問題と歯列による補償的な変化とを区別でき、治療方針の決定や予後の見通しを立て

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