デンタルダイヤモンド 2025年12月号
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42巻頭特集 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少しているわが国では、将来国を支える子どもたちの健全な成長発達を一人でも多く実現することが重要な課題である。これは、わが国の行末を考えるうえで、全国民が自分事として捉えるべきテーマである。 その取り組みのなかで、われわれ歯科界がどのように貢献できるか。その一つが「口腔機能発達不全症」への対応であり、その評価には「睡眠」の視点が含まれている。 歯科の臨床現場では、健常児と思われる子どもの保護者から、“食に関する問題”に関する相談が増えていた。「食事の仕方や食べ方がおかしい」「なかなか飲み込まない」「食べるのに時間がかかる」「丸飲みしてしまう」などがおもな訴えである1)。 これを背景に、日本歯科医学会は、2013年から小児歯科を標榜する歯科医療機関と未就学児の保護者を対象として、「子どもの食の問題」に関する全国的な調査を実施した。その結果、約6割の歯科医院が子どもの食の問題について相談を受けていたのである。そのうち、1/3以上は摂食嚥下に関する内容だったが、実際に指導を行っていたのは約2割にすぎなかった。そして、全体の8割以上が「歯科医師として子どもの食の問題の改善に向けて取り組むべきである」と回答していたが、実際に改善に向けて対応していた歯科医院は全体の半数以下だった2)。 これらの調査結果より、歯科医療従事者が小児の摂食嚥下機能を含めた口腔機能の発達を評価し、適切な対応をとるための指標の必要性が明確となった。そこで日本歯科医学会は、関連多職種によるワークショップと公開フォーラムを開催。さらに、「小児の口腔機能発達評価マニュアル」を作成し、2018年3月に公開した。これにより、同年4月から必要な管理・指導が公的医療保険の対象となり、 口腔機能発達不全症の歴史夫馬吉啓Yoshihiro FUMA愛知県・グリーンデンタル夫馬小児と睡眠口腔機能発達不全症とのかかわり

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