図❹ 義歯製作におけるデジタル化も、デジタイゼーションに留まらず、デジタライゼーションを目指すべきである。現在の義歯製作のデジタル化は完成形ではない。デジタルトランスフォーメーションに向けて、その価値から見直すべきである見直すべき時期にきている。 DXは大きく以下の3段階に分けられるとされる。•Digitization(デジタイゼーション):紙や物理的データをデジタル化する•Digitalization(デジタライゼーション):デジタル技術によって業務プロセスを改善する•DigitalTransformation(DX):デジタルを用いて全体の価値構造を再定義する 現時点で多くのCAD/CAM義歯は、「Digitization」の段階に留まっている。つまり、従来のアナログ工程を「スキャナで記録し、CADで設計し、CAMで削る」という形式に置き換えているだけであり、根本的なプロセスの再構築には至っていない。 この傾向は国内においても同様であり、CAD/CAM義歯は一部で導入が進んでいるものの、その多くは従来工程の延長に留まっているとする報告もある3)。 本来、Digitalizationとは、まったく新しい義歯製作の「かたち」をデジタル技術で構図❺ 義歯床の構成要素は「粘膜面」「床辺縁」「研磨面」の3つである。義歯の形態を決めていくために、どこをどのタイミングで記録(採得)できるのかを考えることが重要である 義歯製作の“デジタル化”とは54築することにある。従来の方法をなぞるのではなく、ゼロベースで製作プロセス全体を再構築すること─これこそをデジタル化の最終目的とすべきであろう(図4)。1.なぜIOSでは義歯が作れないのか?─“写せない動的構造”の問題 総義歯は、大きく以下の構成要素から成り立っている(図5)。•粘膜面(口腔内の接触面)•床辺縁(周囲の封鎖と動態にかかわる部分)
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