デンタルダイヤモンド 2025年10月号
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表❶ 一般的な歯の形態分類1)•単咬頭(切縁)+単根:切歯•単咬頭(尖頭)+単根:犬歯•2咬頭+単根または2根:上顎小臼歯•2または3咬頭+単根:下顎小臼歯•4咬頭+3根:上顎大臼歯•5咬頭+2根:下顎大臼歯26巻頭特集 頭蓋は複雑な骨格で、脳・視覚器・平衡聴覚器を容れている他、消化管と気道の起始部を囲んでいる。頭蓋は1つの骨ではなく、15種23個の頭蓋骨と顔面骨から成り立っている。歯と関連のある骨は上顎骨と下顎骨であるため、本稿では、この2つの骨と、小臼歯の歯冠と歯根の形態に焦点を当てて解説する。 歯と骨の形態・構造、神経・血管・上顎洞・歯槽管・下顎管・オトガイ孔などの解剖学的構造との位置関係を理解することは、極めて重要である。これは、抜歯に伴う歯槽骨の穿孔や破折、上顎洞壁や粘膜の穿通・損傷、上顎洞への歯・歯根の迷入、神経や血管の損傷などの合併症を防ぐことに繫がるためである。 歯列の最前部に位置し、正中線の両側に2本ずつ存在するシャベル状またはノミ状の歯を切歯と呼ぶ。切歯の後方に続く、先端が尖った歯が犬歯であり、犬歯の後方に続く、通常2つの咬頭をもつ歯が小臼歯である。さらに、小臼歯の後方に位置する3本の歯を大臼歯と呼び、そのうち第3大臼歯は智歯もしくは親知らずと呼ばれる。 一般的な歯の形態分類を表1に示す。歯は一般に男性のほうが女性よりも大きく、特定の歯種においては統計学的に有意な男女差が認められる。しかし、肉眼的にはその違いをほとんど判別できない2)。 歯は摩耗・咬耗・酸蝕・う蝕・歯科治療などに影響を受け、歯冠形態が変化する。第2象牙質形成による歯髄腔の狭窄や象牙細管の 歯種別の歯冠・歯根の形大島勇人Hayato OHSHIMA新潟大学大学院医歯学総合研究科 硬組織形態学分野歯と顎骨の形態・構造、解剖学的構造との位置関係

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