aadd図❸ 12歳、女子。3の歯胚位置異常を認め、12は軽度の動揺がある(a)。3の歯胚により12の歯根が吸収しているのがわかる(b)。3を開窓し(c)、3の牽引を開始した3ヵ月後(d)、2は動揺が増して歪みが出てきたため抜歯した。成人後にインプラントにすることを想定し、1を保存したまま矯正を進めている(e)bbeecc図❹ 8歳、女児。2の遠心傾斜を認める(左)。3の歯胚位置異常があり、歯胚は2の歯根に近接して、傾斜の原因となっているのがわかる(右)50 乳歯の動揺や生えかわりに左右差があったり、片側の犬歯部頬側歯肉が膨隆したり、側切歯の萌出方向に左右差がある場合は、パノラマX線写真を撮影し、歯胚の位置や成熟度を診査する必要がある(図4)。 パノラマX線写真で犬歯の歯胚位置異常を認めた際は、開窓、牽引が必要な場合がある。CTを撮影し、隣在歯の歯根吸収の有無、唇側の歯槽骨の厚みなどを診査し、開窓の時期を検討する(図5)。また、乳犬歯(状況により第1乳臼歯)を早期に抜歯し、犬歯の歯胚位置を正しく誘導させる方法もある(図6)。 第1大臼歯の異所萌出の多くは上顎に出現する。その理由は、第1大臼歯の萌出様式がかかわっている(図7)3)。上顎骨(結節部)の発育不全が生じると萌出余地不足のため、上顎第2乳臼歯の遠心根の吸収を招く。その結果、第2乳臼歯が早期脱落し、第1大臼歯が近心に萌出することで、第2小臼歯の萌出不全を引き起こす。 第1大臼歯の異所萌出を認めた際は、①第2乳臼歯の遠心をスライスし、第1大臼歯の萌出を促す(図8)、②第2乳臼歯を抜歯して第1大臼歯を遠心移動させ、第2小臼歯の萌出スペースを確保する(図9)、③経過観
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