デンタルダイヤモンド 2025年10月号
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図❶ 矯正歯科医院からの紹介状。歯式の表記に加え、転位歯など誤認しやすい場合は、写真、模型、X線写真などで図示してもらうと伝わりやすい34どから、抜歯の難易度をある程度予測できる。これらの情報は、デンタルX線写真では判断できない。 CBCTの撮像については、基本的には不要と考えるが、複数根や弯曲根を有する症例において、術前イメージとして破折時の上顎洞穿孔や迷入のリスク、フラップ進展や骨削除時の周囲組織損傷のリスクなどが想定される場合には、歯科医師の裁量により使用を判断すべきと考える。3.問診 便宜抜歯を行う患者のほとんどは、基礎疾患を有さない健全な若年者であるが、油断はできない。筆者の歯科医院では、すべての初診患者に、基礎疾患の有無、全身麻酔歴、局所麻酔歴、抜歯歴の有無、歯科治療や観血処置時の偶発症の有無、アレルギー、内服薬を聴取している。 驚いたことに、当院に便宜抜歯で紹介される患者の約半数は麻酔処置を受けた経験がない。患者にとってこれから行う局所麻酔および抜歯処置が未知の経験となるため、その点について配慮しなくてはならない。 一方で、過去の麻酔で具合が悪くなったことのある患者や、血を見るのが苦手な患者も一定数いる。当院でも過去に数名、術中は問

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