デンタルダイヤモンド 2025年9月号
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19801990外科主導型治療(ボトムアップトリートメント)オッセオインテグレーションの獲得を最優先させてインプラント体埋入位置などを決定し、その後補綴設計を行う既存骨に依存した骨結合の獲得2000補綴主導型治療(トップダウントリートメント)補綴学的に理想的な上部構造の位置や形態を想定し、それに合わせてインプラント体の本数や埋入位置を決定する理想的な埋入ポジションへのGBR、軟組織移植図❶ 年代ごとのインプラント治療における考え方の変遷2010外科主導型、補綴主導型に加えて、外科的侵襲度・治療期間・治療費などの要素に可能なかぎり患者の要望を反映させる既存骨を利用した低侵襲手術抜歯即時埋入2020患者主導型治療26 近代インプラントの父であるBrånemark教授が、1952年にオッセオインテグレーション理論を確立し、インプラント治療が始まってから半世紀以上が経つ。無歯顎から部分欠損、現在では審美修復にも多く応用されている。また、Brånemark教授が提唱した2回法インプラントの治療プロトコールは、現在も多くの臨床家が採用している。 現在の標準的なインプラント治療のプロトコールでは、抜歯後6ヵ月は骨の治癒を待ち、インプラント埋入後3〜6ヵ月の治癒期間を経て二次手術を行い、歯肉が治癒してからプロビジョナルレストレーションにて経過観察後、最終補綴物に移行という流れが一般的である。 このように、待時埋入症例では下顎なら約1年、上顎なら約1年半という長い期間を要している。さらには、ガイデッドボーンリジェネレーション(以下、GBR)や結合組織移植(以下、CTG)など付加的な処置が加われば、治療期間はさらに延長する。 しかし、インプラント治療を必要とする患者の多くは高齢者が中心であり、インプラント治療に要する期間はなるべく短期間に終了することが望ましい。 審美修復治療とは機能の回復に加えて、自然な見た目・美しさを重視した修復治療である。その定義には、“患者満足”という主観的要素と、“自然に近い色・形態・周囲歯列との調和”といった客観的要素が含まれる。 近年、患者の審美的要求は非常に高度になっている。そのため、審美修復エリア、すなわち上顎前歯部エステティックゾーンにおけるインプラント修復治療は、予知性のある審美・機能・形態が三位一体で備わっている必要がある。インプラント治療における考え方の変遷を図1に示す。1.初期インプラント治療(1952〜1980年代) 外科主導型治療(ボトムアップトリートメ インプラント治療の確立と現在地 インプラント審美修復治療の変遷

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