デンタルダイヤモンド 2025年9月号
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口腔機能にかかわる筋の概要、 および口腔の奥に隣接する解剖構造1.咀嚼筋群:咬筋、側頭筋、内側翼突筋、 摂食嚥下の始まりは口腔である。本特集では、嚥下が開始されるまでの口腔での動きを、「摂食嚥下のプロセスモデル」に則って解説する。 生理学の苦手な一解剖屋が“摂食嚥下の仕組み”を何とか理解しようとした学びの記録であり、よりよい口腔ケア・口腔リハビリを行ううえでの“基本のきほん”と考える。なお、執筆に際しては以下の書籍に負うところがとくに大きい。•才藤栄一(監):プロセスモデルで考える摂食・嚥下リハビリテーションの臨床 咀嚼嚥下と食機能.医歯薬出版,東京,2013.•岩田幸一,井上富雄,船橋誠,加藤隆史(編):基礎歯科生理学第7版.医歯薬出版,東京,2020.外側翼突筋 頭蓋と下顎骨を繋ぎ、顎関節を介して下顎骨を動かす。 咬筋(図1)は下顎枝外面、側頭筋(図2)側頭筋顎関節■筋茎突舌骨筋舌骨図❶ 咬筋と側頭筋の外側面観頰骨弓頰筋顎舌骨筋側頭筋下顎枝外面下顎体図❷ 側頭筋の全貌(外側面観)後部中部前部下顎骨 筋突起頰筋下顎底52は下顎骨筋突起につく。側頭筋は前部、中部、後部に区分され、筋線維は前部では垂直方向、中部では斜め方向、後部では水平方向に走る。 内側翼突筋・外側翼突筋(図3)は下顎枝より深部にあり、内側翼突筋は下顎枝内面につく。外側翼突筋は上頭と下頭に区分され、上頭は顎関節の関節円板、下頭は下顎骨関節突起につく。 咀嚼筋の作用は、咬筋、側頭筋、内側翼突筋では閉口(下顎を上方に引く)、外側翼突筋下頭では開口(下顎を下方に引く)である。2.舌骨上筋群 前頸部で舌骨より上位にあり、「舌骨─下顎骨間に張る筋」と「舌骨─頭蓋間に張る筋」に分かれる。•舌骨─下顎骨間に張る筋(submentalmuscles:図4):顎二腹筋前腹と顎舌骨筋とオトガイ舌骨筋の3筋があり、開口作用と舌骨を上方に引く作用をもつ。•舌骨─頭蓋間に張る筋(図5):顎二腹筋後腹と茎突舌骨筋の2筋がある。Submentalmusclesより後方にあって舌骨を後上方に引く。顎二腹筋後腹は中間腱を経て前腹に移行する。中間腱は結合組織膜

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