IOSを使用した口腔内直接光学印象3Dモデル作製デザインソフトによる補綴装置設計加工機によるブロック加工口腔内への装着図❶ ワンビジットトリートメント(OVT)では、支台歯形成から印象採得、補綴装置の装着までの一連の治療を、一度の来院で完了する図❷ デジタルを用いたOVT。本症例では印象採得から補綴装置装着まで約50分で完了した35大きく影響すると思われる。したがってこれからは、「どのように効率化し、無駄をなくしていくか」という観点からも、デジタルデンティストリーに取り組まざるを得ないと考えている。 本稿では10年先の変化を見据えた「チェアーサイドでできること」と「ラボサイドでなければできないこと」を考慮した取り組みと、そのなかでの効率化について考察したい。 ダイレクトボンディングは、1日でその歯の治療を完了する、まさにワンビジットトリートメント(OVT)であるが、日常臨床においては、間接修復の適応となるケースも多い。 そこで有効なのが、一度の来院で印象採得から補綴装置の装着までを完了する、デジタルを用いたOVTである(図1、2)。そのメリットは、来院回数や治療時間の削減とともに、間接法でありながら、時間経過に伴う歯髄へのさまざまな悪影響を低減できる点である。 印象採得当日に補綴装置の装着を行うため、仮封中の汚染がなく、麻酔が奏効している時間内で装着まで行えば、確実に乾燥操作を行える。これにより接着効果の向上が見込め、歯髄への影響を最小限に留められると考えられる。 簡単な症例では1時間程度で補綴装置を装着できるが、症例により設計の難易度や加工機が必要とする時間に差があり、ある程度余裕をもった時間設定が必要である。他の診療との兼ね合いも考え、あらかじめ予約調整を行う必要があることは短所といえる。また、頻度は低いが、機器のトラブルが起きる可能性も考慮しておく必要がある。 このように、OVTは診療体制に依存するものの、デジタル特有の効率化を活かせる治療といえる。 初診時の口腔内写真やX線写真などの基本資料とともに、口腔内のスタディモデルを採得することは、客観的な状態を把握し、治療計画を立案するうえで非常に有効である。一方で、模型の製作に時間やコストを要し、保管や管理が難しいため、そのハードルは高いと考える。 そこで有効となるのが、IOSを用いたデジ ワンビジットトリートメント(OVT) デジタルデータの保存と活用
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