表❶ IOSのメリット▪チェアータイムの短縮▪患者負担の軽減▪寸法精度の安定性▪コスト削減▪データの保存、複製▪歯科技工指示書の作成▪歯科技工物の受け渡し▪補綴設計の連携▪拡張性34巻頭特集 補綴治療における近年の大きな変化として、IOS(Intra Oral Scanner:口腔内スキャナー)による光学印象採得が挙げられる。2024年6月から保険収載され、これからますます普及していくと考えられる。IOSによる口腔内状態のデジタルデータは、補綴治療だけではなく、矯正やインプラントなど、さまざまな治療で活用が進んでいる。 IOSには多くのメリット(表1)があり、患者負担の軽減だけではなく、スタッフの働き方にかかわる進化も多いと実感している。今後、より多くの治療がデジタルデンティストリーに対応し、さらなる効率化を図るうえで必要不可欠なものとなると予想される。 一方で、これから10年先の歯科治療を考えたとき、補綴装置製作に欠かせない歯科技工士数の減少という問題についても、向き合う必要がある。 歯科技工士数は年々減少しているといわれているが、2022年の厚生労働省のデータによると、10年前に比べて減少傾向にあり、最多階層は65歳以上となっている1)。2024年のデータはまだ公表されていないが、これから2年後にはさらに減少すると予測している研究2)もある。筆者は現時点で日常臨床において歯科技工士数の減少を実感する場面は少ないが、これからの変化に危機感を抱いている。 歯科技工物の製作を担う歯科技工士の数が減少すれば、治療の遅れや歯科技工物の質の低下、それらによる患者満足度の低下などに久木田 大Dai KUKITA熊本県・くきた歯科クリニック次の10年を見据えた補綴治療のデジタルワークフロー
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