34巻頭特集 歯内療法は歯の長期的な機能維持に不可欠な処置であり、歯科治療の柱の一つと考えられる。一方で、歯内療法は相対的に診療報酬が低く、治療に時間がかかるため、現状のままでは新時代のワークスタイルに適しているとは言い難い。 その解決策の一つとして、歯内療法を自由診療とすることで収益性を高め、働き方を改善しようとする考え方がある。しかし、一般開業医において歯内療法を自由診療化するには、いくつかの課題がある。 たとえば、自由診療で歯内療法を行っている歯内療法専門医は、1日に診る患者数を絞り、処置時間を十分に確保して歯内療法のみを行い、処置終了後には患者を紹介元に戻すというワークスタイルが一般的である。一方で、一般開業医は日常診療のなかで数多くの歯内療法を行うだけではなく、一口腔単位でう蝕治療や歯周治療なども並行して行っており、歯内療法“だけ”に時間をかける診療スタイルとは大きく異なる。 このような状況で、少数の患者に自由診療を導入したとしても、成果を上げられるだろうか。多くの歯内療法が保険診療で、さらにう蝕治療や歯周治療などの処置も並行して行う必要があれば、日々の診療体制全体に変化は生じにくく、ワークスタイルの実質的な改善には繫がりにくい。また、診療形態を問わず、歯内療法における質の確保はつねに最も重要である。 こうした前提のもとで、もう一つの解決策として、歯内療法そのものを効率化し、処置にかかる時間を短縮することが重要となる。これは、一般開業医にとって、現実的で持続可能な歯内療法のあり方といえるのではないだろうか。 この効率化を図るうえで鍵となるのが、「可視化」である。次項では、可視化の意義とそ 歯内療法の効率化小林善郎Yoshiro KOBAYASHI佐賀県・こばやし歯科医院「見える化」による歯内療法の最適化
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