デンタルダイヤモンド 2025年5月号
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図❷ 小児はスキャンする画面を見せながら処置を行うと、興味・関心を引き出して協力度が高まる図❸ Aoralscan 3(Shining 3D)のコードありタイプ。昨年日本で発売された、ワイヤレスタイプも人気である33診療フローが滞る可能性があるため、できるかぎり短時間でのスキャンが求められる。 理想的なモデルとしては、上顎・下顎・咬合関係を含めた全体のスキャンを2分以内で終えられるものが望ましい。スムーズにスキャンを行えることで、診療時間を短縮できるのみならず、患者の負担軽減にも繫がる。とくに、高齢者や小児は長時間の開口を苦痛に感じやすいため、迅速なスキャンが可能な機器を選定することが、快適な診療環境を整えるうえで重要である(図2)。2.精度 スキャンデータの精度は、診療の目的によって求められる水準が異なる。補綴治療では、充塡物や補綴物の適合性を高めるために、㎛単位の高精度なデータが必要となる。一方で、予防歯科や患者説明の場面では、細部の誤差よりも全体像を正確に伝えられることが重要であり、一定の精度で視覚的に納得できるデータがあれば十分である。 理想的な精度としては、フルアーチスキャンで0.02㎜以下の誤差が求められ、これを満たすIOSであれば、補綴治療にもコンサルティング用途にも幅広く活用できる。3.軽量性と操作性 歯科衛生士がIOSを日常的に扱う機会が増えているため、軽量で操作しやすい設計が望ましい。とくに、長時間の使用でも負担にならないよう、重量は200〜350gの範囲が適している。また、臼歯部のスキャンをスムーズに行うためには、持ちやすく細身で直線的なデザインが理想的である。実際のユーザーの声としても、操作性の高いIOSは経験の浅い歯科衛生士でも短期間で習得しやすく、導入後の実践的な活用がスムーズに進むという意見が多い。4.コストパフォーマンス 初期投資だけではなく、ランニングコストも考慮することが重要である。IOSの初期費用は、高価格帯では700万円以上に達するものがある一方、低価格帯では200万円以内で導入できるモデルも存在する。また、保守費用は年間10〜20万円が一般的であり、たとえばAoralscan 3(Shining 3D:図3)は年間約4万円と比較的リーズナブルである。長期的な経済性を判断するためには、導入後5年間の総コストを比較し、維持費を含めた運用計画の立案が重要となる。

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