舌咀嚼と食塊形成職種役割看護師服用管理能力の把握、服薬状況の確認、服薬支援、ADL(日常生活動作)の変化の確認、薬物療法の効果や薬物有害事象の確認、多職種へ薬物療法の効果や薬物有害事象に関する情報提供とケアの調整口腔内環境や嚥下機能を確認し、薬剤を内服できるかどうか(剤形、服用方法)、また薬物有害事象としての嚥下機能低下等の確認歯科衛生士理学療法士・作業療法士言語聴覚士管理栄養士薬物有害事象、服薬にかかわる身体機能、ADLの変化の確認嚥下機能を評価し、内服可能な剤形や服用方法の提案。薬物有害事象としての嚥下機能低下等の評価食欲、嗜好、摂食量、食形態、栄養状態等の変化の評価入院(所)前の服薬や生活状況の確認と院内(所内)多職種への情報提供、退院(所)に向けた退院先の医療機関・介護事業所等へ薬剤に関する情報提供服薬状況や生活状況の変化の確認社会福祉士等介護福祉士介護支援専門員各職種からの服薬状況や生活状況の情報集約と主治の医師、歯科医師、薬剤師への伝達、薬剤処方の変更内容を地域内多職種と共有口腔期先行期食物の認識咽頭期咽頭への送り込み嚥下反射、食道への送り込み準備期硬口蓋軟口蓋食道期蠕動運動による胃への送り込み図❷ 摂食嚥下の5期モデルと薬剤の嚥下。薬剤の嚥下には準備期に相当するプロセスがない 錠剤嚥下障害で起こる服薬トラブル57表❶ 服用状況の管理や服薬支援を担う各職種の役割(参考文献2)より引用改変)入って胃へ送られるのは同じであるが、薬剤の嚥下には咀嚼を伴わないため、いわゆる摂食嚥下の5期モデル(先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期)のうち、準備期に相当する咀嚼して均一な状態にする過程が存在しない(図2)。 また、固形物咀嚼嚥下のプロセスモデルとも異なっている。現時点では錠剤嚥下障害の病態について詳細は明確になっていないが、①咽頭収縮力低下や嚥下反射の惹起遅延、感覚障害などの機能的障害(内的要因)によるものと、②嚥下時の姿勢や錠剤の大きさなどの外的要因によるものと考えられている7)。 嚥下障害に起因する服薬トラブルとして、「残留」、「誤嚥」、「逆流(胃食道逆流)」が挙げられる。なお、残留とは飲み込んだ薬剤が口腔や咽頭、食道に付着して残っている現象をいう。また、逆流とはいったん食道に入った薬剤が逆流して気道に入り、誤嚥を引き起こす現象である。 とくに残留しやすいのは、口腔では舌下、口腔前庭、咽頭では梨状陥凹や喉頭蓋谷、食道では第2狭窄部(食道が気管支、大動脈と交差する部位)、下部食道括約筋部である(図3)8)。残留では付着した箇所で薬剤成分が放出されることによる粘膜損傷が懸念される。酸化マグネシウム製剤が義歯床下粘膜に残留した場合は、粘膜に疼痛を生じ、義歯の不適合を訴えて歯科を受診することがある。粘膜
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