デンタルダイヤモンド 2025年3月号
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Case1(60代女性)Case2(50代男性)図❶ 本特集で供覧する咬合再構成症例の術前・術後の比較34 咬合再構成については、とくに経験の少ない若手歯科医師から、「何から手をつければよいのかわからない」、「やり方がわからない」といった悩みの声が聞かれる。しかし、治療ゴールを見極めて適切な手順で取り組めば、審美と機能を両立した患者満足度の高い咬合が得られる(図1)。 本特集では、治療ゴールを見据えた咬合再構成について、6つのステップで考え、咬合状態を4つのステージに分類して述べる。また、天然歯とインプラントの共存や歯科技工士との連携も含めて、症例を提示しながら解説する。 筆者が所属しているスタディグループFundamental Training Association(FTA)では、咬合再構成のプロセスを、6ステップで考えている(図2)。①顎位、②咬合高径、③上顎歯列、④静的咬合(バーティカルストップ)、⑤動的咬合(アンテリアガイダンス)、⑥生理的調和 なかでも重要なのが、アンテリアガイダンスである。顎の運動は、歯の運動によって支配されるアンテリアガイダンスと、顆頭の運動によって支配されるポステリアガイダンスに分類される。 アンテリアガイダンスを考えるにあたり、上下顎骨の不調和がなく、犬歯関係にも問題がない場合には、犬歯Mガイドによる臼歯離開咬合を目指すのが望ましい(図3)。 だが、本来目指すべきゴールは、神経筋機構に調和した口腔内環境の確立であり、患者の骨格に合わせたアンテリアガイダンスを歯に与えることを最も重要視しなければならない(図4)。 無理に骨格Ⅰ級Mガイドを目指すのではなく、・下顎の咬合平面・臼歯部咬頭傾斜角・上顎犬歯口蓋内斜面の形態・下顎犬歯尖頭の位置・スピーの湾曲などの調整を試みる。 咬合再構成に限らず、すべての歯科治療において、 6つのステップのポイント 術後のトラブルを防ぐ必須条件

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