動画下顎埋伏智歯抜歯の基本的な流れ 下顎埋伏智歯を抜歯するにあたり、術前に難易度を見極めることは非常に大切である。自らの力量、経験等を十分に考え、治療計画を立てなければならない。 これからとりかかる処置の難易度の判定にあたっては、パノラマX線写真、歯科用コーンビームCT(以下、CBCT)で智歯の歯根の位置や傾き、下顎管との距離などを頭にイメージしつつ、後述するポイントについて考えていくことが大切である。1.Winter分類(図2)、Pell&Gregoryの分類(図3) 下顎埋伏智歯の位置分類で有名なものにWinter分類、Pell&Gregoryの分類がある。Winter分類は第2大臼歯に対する埋伏智歯の歯軸の方向で分類され、Pell&Gregoryの分類は第2大臼歯と下顎枝との水平的位置、第2大臼歯の咬合面に対する埋伏智歯の垂直的位置で分類される。1)Winter分類 歯軸の方向が垂直、近心傾斜、水平、遠心図❶ 術野の展開。解剖学的ランドマークに注意しながら、手術を完遂し得る視野を確保する。大きすぎてもよくないが、小さすぎるのは危険 抜歯の前に 術前に難易度を見極め、 治療計画を立てる54 歯科小手術のすべての基本は、埋伏智歯抜歯に集約されているといっても過言ではない。埋伏智歯抜歯そのものの目的は歯の摘出であるが、その目的を達成する過程において行われる術前診断、歯肉切開、粘膜骨膜弁剝離・翻転、骨削合、縫合といった一つ一つの手技は、その他の歯科小手術である歯の移植術、骨移植術、軟組織移植術などに深く結びついている(動画、図1)。そういったことを意識して臨床に臨むべきであるとわれわれは考えている。 下顎埋伏智歯抜歯は、臨床において遭遇する最も頻度の高い歯科小手術であり、口腔外科を志す歯科医師がはじめに対面する処置でもある。そのため本特集では、卒後3~4年の先生方が陥りやすいピットホール(落とし穴)の提示と、対策についても解説する。 なお、大まかな目標として、「抜歯難易度の見極め」「約30分以内での手術の完了」「全体を通しての愛護的な操作」を設定する。※QRコードへのアクセスで動画がご覧いただけます(https://www.dental-diamond.co.jp/shop/etc/books_movie/dd2502/tooth_extraction2502.html)
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