デンタルダイヤモンド 2025年1月号
8/13

•インプラントの痕跡は遠い昔インカ時代の遺跡からも見つけられている•近現代になっても、ブレードタイプインプラントなど多くの試みがなされている•ブローネマルク教授によってチタンと骨が結合することが発見された•ブローネマルク教授はその発見を医療に応用するために、あえて環境の厳しい口腔内の人工歯根として研究した•その結果、インプラント治療はトロント会議を経て、現在世界中に広まっている図❶ 小宮山彌太郎先生の講義から学んだ知識39巻頭特集 いまを遡ること約30年、筆者は岩手医科大学歯学部在学中に、小宮山彌太郎先生(東京都開業)の講義を数度拝聴する機会に恵まれた。そして、小宮山先生の知的な容貌から発せられる確信に満ちた言葉の数々に、魅了されたのであった(図1)。いまでもありありと当時の光景を思い浮かべられる。あの講義に出合っていなかったら、現在インプラント治療を行っていたかどうかわからない。まさに人生を変えてくれた講義であった。 その後、自身もインプラント治療を手がけることになり、現在までに多くの症例を重ねてきた。初期のころとは考え方のみならず、治療に使用する機械や器材も変わった。その結果、手術の手技にも変化がみられた。 本稿では、時代によって変化してきたインプラント治療の手術手技の変化を、症例をもとに紐解きたい。 1963年にブローネマルク教授が初めてチタンインプラントを人体に応用して以来、基本的に骨のあるところにインプラントを埋入して、上部構造は創意工夫によって作製するという方法がとられてきた。これを、外科主導インプラント時代とする。 その際、骨のあるところが歯と歯の間になってしまう、インプラントの平行性が上部構造を作製するのに適していない、アクセスホールが大きく唇側に出てしまうなどの問題があった。また、二次元のX線写真をもとに 外科主導インプラント時代相場隆広Takahiro AIBA秋田県・あいば歯科医院インプラント治療の手術手技の臨床進化

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る