デンタルダイヤモンド 2025年1月号
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32巻頭特集 デジタル技術の普及により、現在では多くの歯科医院や歯科技工所で、何らかのデジタルツールを取り入れているのではないだろうか。歯科医療にかかわる技術の多くは、偉大な先人たちが築き上げてきたものであり、使用する機材が進歩しても王道は不変的なものであると感じる。デジタルのよいところは、コンベンショナルなトリートメントワークフローのなかに融合させることで、不変的なもののよさを残したまま補強するかたちで、新たな方法を生み出せる点である。 デジタルが有用な分野の一つに、咬合再構成がある。咬合再構成では治療の確認や修正に正確性が求められ、正確性こそデジタルの優位な点の一つだからである。さらにいうと、デジタルでは複数のデータの重ね合わせが可能となり、これがさまざまな評価や補綴設計の場面での効率化に貢献している。本稿では咬合再構成について、デジタルの融合によって進化した部分を中心に紹介する。 初診時には問診やさまざまな検査を実施し、そこで得られた情報をもとに最初の診断を行い、患者と相談しながら治療計画を立案していく。しかし、たとえば患者の希望で主訴の部位しか加療できない、あるいは顎位が安定していて全顎的な加療が必要ないと判断した場合は、その後の精密な全顎的評価の必要性は薄まる。そこでのデジタルツールの使用については、作業の効率化やエラーの軽減という目的で必要に応じて組み込んでいけばよい。ここでは、咬合再構成が必要である患者の顎位の診断にフォーカスを当てる。 まず垂直的な顎位の評価だが、図1のような個々の臨床的決定因子や図2のような臨床指針1)を念頭に置いたうえで、筆者は図3のような方法で評価することが多い。なかでもFacial estheticによる顔貌分析は必ず行い、規格性を統一した写真を撮影し、そこから評価していく。 検査・診断に用いられる デジタルツールの活用山下貴史Takashi YAMASHITA秋田県・山下歯科医院デジタルの融合によりみえてきた咬合再構成の臨床進化

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