日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科 口腔機能発達不全症の発見方法60 口腔機能発達不全症は、2018年に歯科保険に収載された。口腔機能発達不全症は、離乳完了前と離乳完了後の2つのチェックリストを用いて評価する1)。離乳とは、母乳または育児用ミルクなどの乳汁栄養から幼児食に移行する過程のことである2)。そして、離乳の完了は、エネルギーや栄養素の大部分が母乳または育児用ミルク以外の食物から摂取できるようになった状態のことであり、母乳または育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない(卒乳ではない)2)。 離乳完了前のチェックリストは、0歳から離乳の完了までが対象となり、離乳の完了の目安は、完了食を摂取する時期12〜18ヵ月である。口腔機能の発達によっては、離乳の完了が18ヵ月以降になることもある。離乳完了後のチェックリストは、離乳の完了後から18歳未満(17歳以下)の口腔機能の発達不全を認める患者が対象となる(表1、2)。 チェックリストは、機能(A)・分類(B)・項目(C)を確認し、該当項目(D)をチェックするようになっている。評価方法については、日本歯科医学会が公表している「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」に評価基準が示されている3)。基本的に、定量的な評価が難しいチェック項目が多い。定量できるのは、身長と体重から「やせ、または肥満である(離乳完了前C-11、離乳完了後C-13)」を評価する項目と、離乳完了後の口唇閉鎖力検査と舌圧検査である。 一方、定量が困難な項目としては、離乳完了前の「C-9 離乳が進まない」や、離乳完了後の「C-4 強く咬みしめられない」、「C-5 咀嚼時間が長すぎる、短すぎる」、「C-10 口唇の閉鎖不全がある」などが挙げられる。いずれの項目も、食べるための機能になるため、食べる機能の評価が必要となる。 離乳完了前の「C-9 離乳が進まない」は、「保護者への問診、視診により適切な離乳食の与え方をしているか否かを確認する」ことが必要であり、離乳食が進まない原因が口腔機能と食べている食形態に違いがあるかを確認する。 離乳食の形態は、「授乳・離乳の支援ガイド2019年改定版」に詳細がある2)。「授乳・離乳の支援ガイド」は、妊産婦や子どもにかかわる保健医療従事者が基本的事項を共有し、支援を進められるよう、保健医療従事者向けに作成され、自治体や医療機関等で活用されているため2)、参考にしてほしい(表3)。山田裕之Hiroyuki YAMADA田村文誉Fumiyo TAMURA口腔機能発達不全症の基本11
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