デンタルダイヤモンド 2024年12月号
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32巻頭特集 武道や芸道において、目指すべき修練の過程や段階、師の教えを乞う人の取るべき態度や考え方を示した言葉に、「守破離」というものがある。 「守」は師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は他の師や流派の教えについても考え、よいものを取り入れ、心技を応用・発展させる段階。「離」は既存の型と自分の考えた型の両方をバランスよく理解する域に至ることで、教えを土台としない新機軸を見出し、新しいものを確立する段階である。 歯科臨床にも「守破離」は当てはまると思う。読者の皆様にも少なからず師、もしくは師と仰ぐ人物が存在し、自身の臨床における守破離があるのではないだろうか。 ダーウィンの進化論で、「生き残る種とは、変化に最もよく適応したものである」という言葉は有名だ。日進月歩の歯科臨床の世界でも、機械や材料などが「進化」し続け、臨床家も試行錯誤しながら「進歩」しているのではないだろうか。 知識や技術によって大小あれども、すべての臨床家が患者のために進化を求めて学び続けており、それに伴い「守破離」の段階を経て成長していく。 読者の皆様もご存じのように、この20年の間に歯科医療やそれを取り巻く環境は大きく変化した。20年前には考えもしなかったようなコンセプトも次々と誕生している。機械や材料の進化と臨床家の進歩がうまくマッチしてよい結果を生み出し、多くの患者に貢献しているものも多々ある。 今回、本企画を担当させていただくわれわれ秋田一水会は、本年で設立20周年を迎えた(図1)。20年の歴史のなかで共有し、アップデートしてきた情報のなかから、日常臨床に役立つコンセプトとその進化の過程を、わか 臨床における段階的進化 秋田一水会山下貴史Takashi YAMASHITA秋田県・山下歯科医院秋田一水会の「守破離」

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