デンタルダイヤモンド 2024年12月号
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•呼気中の水分の隔離•唾液による術野の湿潤、感染防止•歯肉溝浸出液、出血による術野の湿潤、感染防止•周囲組織の保護•口唇、頬粘膜、舌の排除•歯肉圧排•術野の明視と操作性の容易化•切削片、除去金属、器具などの誤飲・誤嚥防止•薬液による口腔粘膜の傷害防止47顔貌写真の撮影、ポートレート撮影まで教えていただいた。それからは日々臨床で写真を撮り始め、自分でコンポジットレジン充塡を行った写真を撮影することで、術後に再評価できるようになった。 また、う蝕がなく健全な天然歯も撮影した。裂孔の走行や副隆線の形態など、同じ歯種でもいろいろなバリエーションがあり、充塡に応用できるように観察している。 開業後は本格的にダイレクトボンディングを学ぶべく、セミナーを受講していった。著名な先生に直接教えていただく機会を得られたのが、2つ目の転機である。 ダイレクトボンディングを行うにあたり欠かせないのは、ラバーダム防湿であると考える。唾液に含まれるタンパク質や水分は接着阻害因子となるため、確実な接着を担保するためには唾液や呼気に含まれる水分を隔離し、タンパク質などの汚染から歯面を保護する必要がある。 また、筆者は歯面から汚染物質を除去する際にエアフローを使用しているため、ラバーダムで歯肉を保護することで、不用意な出血図❷ 筆者が初めて購入した一眼レフカメラ図❸ ラバーダム防湿の利点(参考文献2)より引用改変)を防げる。 他にも歯質の感染防止や歯肉圧排、周囲組織の保護など、その効果は多岐にわたる(図3)。ただし、ラバーダム防湿を適切に装着できるようになるためにも時間がかかり、トレーニングは必要である。 確実な接着を行うためには、Decontamination(汚染除去)が重要である。歯面のプラークやタンパク質は接着阻害因子となるため、これらを確実に除去することが欠かせない。 筆者はアクアケア(アパタイト:図4)の導入により、より簡便かつ確実にDecontaminationを行えるようになった。 アクアケアは、歯面清掃のパウダーによるエアーポリッシングと酸化アルミナによるサンドブラストを、1つの器材で行える。歯面清掃用のパウダーでDecontaminationを行い、酸化アルミナにてサンドブラストして窩洞形成が可能であり、エナメル質に噴射することで接着力を増強できる。 特筆すべきなのは、Sylcパウダーの存在である(図5)。Sylcとは、リンケイ酸ナト ラバーダム防湿 アクアケアの導入

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