マンガで学ぶ シニア患者さんに寄り添う対応ガイド
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ははじじめめにに 今年は、第一次ベビーブーム世代が全員、後期高齢者を迎えることによる“いわゆる2025年問題”に社会全体が直面します。そして、さまざまな問題があきらかになる年といわれています。 わが国では、どの業界、職種でも、人手不足が一番の問題になっており、その対策として、飲食店では配膳ロボット、タッチパネル注文や自動精算機の導入などで、スタッフが少なくても仕事が回る仕組みが作られています。 歯科医療ではどうでしょうか? わが国の歯科医師数も2025年から減少に転じるとの報告があります。CAD/CAM、3Dプリンターで入れ歯が作られ、口腔用ロボット掃除機の開発、画像診断や問診にAIを使うなどの研究が進んでいます。 しかし、歯科医療、とくに高齢者歯科では、完全に自動化することが難しいといわれています。そのなかで、デンタルチャートや歯のX線写真が法医学で個人鑑定に使用されるほど、口腔状態は多様です。そのうえ、年を重ねるにつれて健康状態はもちろん、経験や価値観、経済状態などで、口腔状態の多様性は広がっていきます。私は、研究所で地域在住の高齢者の調査を担当し、病院歯科でも多くの有病高齢者を診察しています。年を重ねることで口腔内の状態は個人差が広がることを実感しています。 また、コミュニケーションでは、多くの経験を積むことで相手を理解でき、適切な行動をとれるようになるといわれています。本書では、2人の著者がこれまで出会った方を参考にし、シニア患者さんの対応で注意が必要な場面を紹介しています。どういったポイントを観察し、配慮したらよいかをイメージしやすいように、マンガで解説しました。 高齢者とあまり話したことがない方、苦手意識をもっている方は、まずはこの本でイメージトレーニングをしてみませんか? 高齢者がよくとる行動と、その対応についての引き出しをいくつか準備しておくことで、実際に“ん?”と思う場面で、高齢者がとった行動の理由を想像でき、対応方法も見えてくるはずです。 シニア患者さんとのよりよい関係作りに、本書を活用していただければ幸いです。本橋佳子

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