図❶ 下顎大臼歯近心根のDanger Zone。遠心根面溝付近の象牙質の厚みが少ないMesialDistal図❷ 上顎大臼歯近心頰側根のDanger Zone。MB2遠心側の象牙質の厚みが少ない172東京都・平和歯科医院阿部 修根管穿孔の発生率と穿孔封鎖の成功率医原性穿孔の生じやすい場所(Danger Zone)とは 古くから医原性の根管穿孔の47%は歯内療法中に確認または形成されること、その他53%は補綴治療に関連すること、さらに上顎(74.5%)のほうが下顎(25.5%)よりも発生頻度が高いことなどが報告されてきた1)。その後、2000年代に入っても医原性根管穿孔は約2~12%に認められ2)、非外科的再治療後においては最大12%で発見されたことなどが報告されており3)、現代の歯内療法においても依然として最もよく認められる合併症の一つであるとされている4)。 2000年代初頭からはMineral Trioxide Aggregate(MTA)を代表とする、いわゆるケイ酸カルシウム系材料の開発とその臨床応用により、穿孔封鎖の質が向上する可能性が示された5)。最近のシステマティックレビューにおいては、従来のセメントによる穿孔封鎖を含む全体としての成功率が約72.5%であるのに対し、MTAを使用した場合には約81%という高い値であったことが報告されている6)。 こうした治療材料の進化は、すでに私たちの日常臨床にも大きな変化をもたらしており、かつては保存困難とされた多くの穿孔症例が、現在では保存可能となってきていることを実感している。しかしながら、最近Gorniらによって報告されたMTAによる穿孔封鎖症例の長期経過報告によると、処置後10年から14年後にかけての再発率が30%から62%まで大幅に増加したことが示され、長期経過からみえる課題も指摘され始めている7)。長期的な歯の保存という観点から、この最も多い医原性偶発症とされている根管穿孔をいかに予防するかは、歯内療法に携わるすべての歯科医師の責務であるといえよう。 根管穿孔の生じやすい部位としては、歴史的に下顎大臼歯の近心根の遠心領域が指摘されており、Abou-Rassらは1980年代初頭に「Danger Zone:以下、DZ」という概念を提唱した8)。2根を有する下顎大臼歯において、近心根の遠心領域の歯質が薄いことからそのように呼ばれ8~10)(図1)、穿孔のリスク部位であることが示されてきた8,9)。上顎においては第1および第2大臼歯近心頰側根の第2根管(MB2)の遠心側象牙質の厚みが少なく、とくに分岐部から4㎜程度下方根管穿孔を回避する根管形成法02
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