160東京都・くどう歯科クリニック工藤智也問題提起TC導入と専門医制の導入自費率向上のための設計1.2段階説明構造 歯科医師が診断および治療計画を提示し、その後にTCが時間を確保して理解形成を担う。医療判断と心理的整理を分離することで、対話の質が 「なぜ、私たちの想いは届かないのか」 数年前の1本の患者レビューを契機に、当院は説明構造そのものを根本から見直すこととなった。歯内療法は診断精度および術式の質が長期予後に直結する分野であり1,2)、適切な診断と無菌的処置の徹底が成功率向上に不可欠である。しかし、その臨床的差異は患者にとって必ずしも可視化されやすいものではない。 2022年、当院の医院全体自費率は20.4%であった。当時の課題は技術水準ではなく、診断と説明が同時に行われる構造にあり、結果として十分な理解形成の時間が確保されていなかった点にあった。 2023年、まずTC(トリートメントコーディネーター)を導入した。目的は、診断(医療判断)と理解形成(対話)を明確に分離することである。医療におけるインフォームド・コンセントは、単なる説明義務ではなく、患者が十分に理解し、主体的に選択することを支援する過程である3)。 導入当初、歯科医師が意図した治療の優先順位と、TCの説明内容に乖離が生じ、患者を混乱させてしまうという失敗を経験した。これを解消したのが、歯科医師による「治療計画書(プランニングシート)」の作成と共有の徹底である。医学的根拠に基づく術者の設計図をTCと事前に共有することで、情報の齟齬をなくし、一貫性のある対話が可能となった。 また、価値の伝わりにくい歯内療法においては、CBCTの3次元画像を用いて根尖病変や複雑な根管形態を視覚的に提示している4)。さらに「家を建てる際の基礎工事」という比喩を用いることで、精密な処置がいかに最終的な補綴物の長寿命化に直結するかを、専門用語を排した言葉で可視化する工夫を行っている。 こうした説明設計が整備された段階で、同年、専門医による自費精密根管治療を正式に導入した。導入の順序は以下の通りである。1)TC導入2)説明構造の整備3)専門医による自費精密根管治療導入 専門医制は価格戦略ではない。CBCTの適切な活用4)、ラバーダム防湿による無菌的処置の徹底、Ni-Tiロータリーファイルを用いた根管形成、マイクロスコープ下での処置、再治療症例への対応など、科学的根拠に基づく診療体制の明確化である。 歯内療法の本質は感染源の除去(infection control)にあり、これらの診療体制はその達成を目的として構築されたものである。 TCは、歯科医師が提示した診断内容および治療方針を患者が理解可能な言語へ翻訳し、疑問や不安を整理しながら選択を支援する役割を担う(図1)。TCによる自費治療の提案 専門医制と説明設計による医院全体構造改革04
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