116愛知県・月星歯科クリニック月星太介 飯田悠介X線画像診査、CBCTの有用性 歯の外傷の発生率は、100人あたり2.82人と報告されており1)、これは一般開業医では1週間に一度、新規の外傷症例に遭遇する計算になる。先生方は忙しい日々の診療時間内で、そのすべての症例に対し正確な診断と迅速な治療が行えているだろうか。 外傷歯の予後は、初期対応によりその歯の運命は大きく左右される。う蝕などの慢性疾患とは異なり、外傷は急性疾患であるため、細菌感染がなければたとえ露髄を伴ったとしても、全部抜髄ではなく、部分断髄などの術式で大部分の歯髄を温存できる可能性が高い。またコーンビームCT(cone-beam computed tomography:以下、CBCT)を適切に活用することで、デンタルX線画像では限界のある、破折線の検出や、脱臼性外傷の歯の位置変化、それに伴う歯槽骨骨折の観察も可能となり、診断および治療方針の決定、または予後の経過観察に大きく寄与する。 千差万別な外傷対応において、一つ一つの病態を理解し、歯とその周囲組織の治癒のゴールを予測したうえで、初期対応を行うことが重要だと考える。本項ではCBCTによる精密な診断と治療について考察する。 通常行われる外傷歯の診査には、問診(外傷の現病歴と既往歴)・触診(動揺度、打診、自発痛)・X線検査・温度診(coldtest)・歯髄電気診(EPT)などがある。そのなかでもX線検査にはデンタルX線画像、CBCT、パノラマX線画像が使用される。 パノラマX線画像は前歯部の断層域は幅が約10㎜と狭いため、歪みが生じやすく、前歯部の診断には不向きである。外傷においては下顎角部や介達骨折における関節突起の診断には有効である。 デンタルX線画像は被曝量が少なく(約0.2μSV)、空間分解能が高い。破折の有無や位置、脱臼の有無、根尖病変の有無、歯髄腔閉鎖の有無、歯根吸収の進行などを把握できる。しかし、二次元的であり、外傷の種類によっては診断が困難なものもある。たとえば、破折性の外傷において、デンタルX線画像では破折線とX線の入射方向が一致または15~20°の範囲内で入射した場合のみ破折を確認することができる2)。また、CBCTを併用することにより思わぬ破折線の走行を確認できることもある(症例1)。 他にもCBCTでは歯槽骨骨折の有無、脱臼の種類(側方性脱臼か挺出性脱臼のみか)、歯根の外部吸収の正確な広がりなどを三次元的に把握できる。たとえば、脱臼性の外傷においては脱臼後数日が経過してしまうと、血餅の器質化が起こり、整復が困難となる3)。そのため、脱臼が疑われる外傷直後には、CBCTの撮影を行い、確実な診断と早期の整復固定が求められる(症例2)。 筆者の医院(月星歯科クリニック)では2003年からモリタ製作所のCBCT(3DX、F17、X800)を導入しており、外傷歯の診断にはもちろんのこと、根管治療や歯周治療などの日々の治療に役立てている。CBCTの設定では、撮影範囲(Field of View)Ø40㎜×H40㎜、180°モードを使用することにより短時間・低線量での撮影が可能である。低線量での撮影が可能といっても、デンタルX線画像に比べ被曝線量は多いため、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則に則り、すべての症例にCBCTを撮影するのではなく、患者にとって利益最新の外傷歯の診断と対応 CBCTによる診断と治療方法の現在17
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