1歯欠損から1歯残存までを補綴する Best Denture Design 【増補改訂版】
3/18

注)本来、パーシャルデンチャーという言葉は、日本補綴歯科学会の用語集では推奨されていない。正確にいえば、リムーバブルパーシャルデンチャー(RemovablePartialDenture)であり、日本語では部分床義歯と呼ぶべきである。ただ、ブリッジやインプラントという言葉と並列するときに部分床義歯ではいささかバランスが悪い。一般的にデンチャーと言えば、可撤性義歯を示していることから、本書では部分床義歯をパーシャルデンチャーと呼ぶことにした。レジン床設計の関係性を明確にするために章立てを工夫し、第2章の設計パタンをより有効に活用できる構成としました。また、パーシャルデンチャーの設計は歯科医師と歯科技工士の連携が不可欠であるため、両者の共通言語として役立てるべく、技工依頼に関する記述も大幅に修正しました。 初版刊行時と同様に、本書は読み物ではなく、臨床現場で辞書のように使える実践書を目指しています。第1章はじっくり読み込んでいただきたい部分ではありますが、日々の臨床では第2章から症例に近い設計を探し、その考え方を参考にしていただければ幸いです。その際、第1章のPattern解説を併せて確認していただければ、理解はいっそう深まることでしょう。設計パタンを大きく変更していないのは、それが「唯一の正解」だからではなく、設計を始める際の出発点、思考整理の目安として役立てていただきたいからです。補綴設計は患者ごとに異なり、年齢や背景、経済環境などを総合的に判断する必要があります。その意味で、本書が臨床における思考の整理と選択肢の拡充に少しでも役立てば、著者として望外の喜びです。 最後に、デンタルダイヤモンド社の安斎清幸氏、島 遥氏には多くのご助言をいただき、本書の出版に至ることができましたことを心より感謝申し上げます。初版本では、東京科学大学大学院医歯学総合研究科生体補綴歯科学分野の若林則幸教授に多大なるご示唆とご推薦を賜り、また和田淳一郎講師をはじめ多くの先生方からも貴重な助言をいただきました。さらに、本書の内容の多くは藍 稔名誉教授、大山喬史名誉教授、五十嵐順正前教授をはじめ、後藤忠正先生、故安田 登先生、腰原偉旦先生、その他多くの先生方のご指導の賜物であり、ここに改めて深く感謝申し上げます。 今回の改訂にあたり、新たなトピックとしてインプラントパーシャルデンチャーとデジタルパーシャルデンチャーを加えるにあたり、北海道大学大学院歯学研究院口腔機能学分野の黒嶋伸一郎教授、東京科学大学大学院医歯学総合研究科口腔デジタルプロセス学分野の髙市敦士教授に執筆をご快諾いただきました。お二人に心より御礼申し上げます。 本書が、一人でも多くの臨床家にとって「パーシャルデンチャーを好きになり、上達する」きっかけとなることを、心から願っております。2025年10月東京都・千駄木あおば歯科 院長 谷田部 優

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る