図❶ サベイングは、前処置での歯冠形態修正を行う必要がある部位を確認するためにも重要である。また、模型を介して歯科技工士に設計を伝えるための重要なツールでもある図❷ 歯科医師自らサベイラインを引いて、ブロックアウトする部位をあきらかにすることが大切である 満足度の高い義歯を作るためには、確実な技工操作以上に、適切な設計と確実な前処置が必要であることはすでに述べたが、それを歯科技工士にきちんと伝えることが大切である。そのためには、院外技工での情報伝達ツールである技工指示書と模型はしっかりと整えたい。 模型上に設計線を記入する前に、サベイラインを引く癖をつけよう。サベイングは、前処置をする際に歯冠形態修正を行う必要がある部位を確認するために重要である。また、模型を介して歯科技工士に設計を伝えるための重要な情報源でもある(図1)。サベイヤーがなくても、シャープペンシルの芯を出して、咬合平面に平行に歯面をなぞるだけでも歯冠形態を視覚的に把握できる。 せっかく形成したガイドプレーンにアンダーカットがあったり、把持腕がアンダーカット領域にかかっていたりすると、その部位はブロックアウトせざるを得ない。結果的に把持にかかわる義歯構成要素が機能しなくなり、義歯の安定が損なわれるばかりか、維持主体の義歯となるので支台歯に為害作用を与える。アンダーカットとそうでない部分をあきらかにするためにも、歯科医師自74らサベイラインを引いて、ブロックアウトする部位をあきらかにすることが大切である(図2)。 サベイヤーの使い方は成書9,10)に任せるが、着脱方向の決定は、原則として咬合平面に垂直にすることが基本である。回転装着型義歯やDual Path RPDなどのように欠損部隣接面のアンダーカットを利用する義歯(REMARKS8:P.35)では、着脱方向を2方向で考える必要があるが、咬合平面に対して垂直な方向での把持と維持の確保という点では変わらない。 技工所へ義歯製作を依頼する場合は、サベイングされた模型の上で設計線を描いて歯科技工士へ渡す。歯科医師と歯科技工士の間で共通の取り決めがあれば、どのような方法で記入しても構わない。ここでは、金属は赤、樹脂は青の実線で描き、内フィニッシュラインは粘膜面から見えるライン設計の基本はサベイラインを知ることPattern 59Pattern 60技工指示書と模型は重要な情報伝達ツールである技工指示12
元のページ ../index.html#10