10時間でわかる歯科経営学
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図❷ 1950年ごろの馬場歯科医院(長崎市銅座町)が見つかりました。筆者が生まれる30年も前のものです。現在は母が馬場歯科医院を引き継いでいます。 父は筆者が20歳のときに癌で亡くなりました。当時、筆者は歯科大生で、母がいなければ歯科医師にはなれなかったでしょう。母は、筆者が歯科医師になる際に、実家の歯科医院を継ぐものだろうと考えていました。しかし、大学を卒業し、歯科医師になって数年が経ったころ、筆者は実家に戻るべきかどうか真剣に考えました。実家の歯科医院はユニットが3台で、建物も狭く、母と2人でやっていくには手狭で拡張性もありませんでした。長崎の将来の人口動向や自分の将来を考え、筆者は実家を継がないことを母に伝えました。母は筆者を責めることなく、「決めたなら頑張りなさい」と背中を押してくれました。母には感謝しかありません。いまでもその選択が正解か不正解かはわかりませんが、この選択が正解だったと思って死ねるように頑張りたいと思っています。そのために、開業したからには必ず成功させるという決意を固めました。 筆者は、開業前には分院長をしていました。最初はスタッフが2人で、患者さんは1日7、8人でした。このままでは駄目だと思い、がむしゃらに働きました。9時から20時まで診療を続け、遅いときは22時まで患者さんがいました。2年後、地域で最も歴史がある築31年の歯科医院を購入し、大きなリフォームを行いました。新しくなると、患者さんが増え、忙しくなり、スタッフも増えましたが、スタッフには無理をさせてしまいました。部活の延長のような感覚で、楽しかった記憶が多いです。しかし、それは長く続きませんでした。3.歯科医院における組織成長のリアル149 築31年の歯科医院を購入して開業

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