2.財務会計・管理会計 財務会計とは、歯科医院の経営状況を外部に向けて報告するための会計手法です。具体的には、収益や費用、資産や負債といった経営の成果を数値で示し、それを基に医院の財務状態を把握することを目的としています。 財務諸表は、歯科医院の経営状態を数値で示す重要な書類です。財務諸表には、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)の3つの主要な書類が含まれています。それぞれが異なる側面から医院の経営状況を評価し、収益管理やコストコントロールにおいて欠かせない役割を果たしています。以下では、これらの財務諸表について詳しく解説します。1.損益計算書(P/L) 損益計算書は、一定期間における医院の収益性を示すもので、売上高、費用、利益の3つの主要な項目から構成されています(図1、表1)。1)売上高 売上高は、歯科医院が診療やその他のサービスを提供した結果として得られる総収入を指します。これは医院の規模や提供するサービスの内容によって大きく変動します。売上高の増減は、医院の経営戦略やマーケティングの効果を評価するための重要な指標となります。2)費用 費用は、医院が収益を得るために支出したすべてのコストを指します。おもな費用には、人件費、材料費、設備費、そして運営にかかるその他の経費が含まれます。費用の管理は、コストコントロールの観点から非常に重要であり、無駄なコストを削減することで、医院の利益を最大化できます。3)利益 利益は、売上高からすべての費用を差し引いた残りの金額を指します。損益計算書を分析することで、医院がどの程度の利益を上げているか、またその利益がどのように変動しているかを把握できます。94 財務諸表の基礎下所由美子 (沖縄県・泉崎ファミリー歯科)第3章 医院運営の手段と仕組みを理解し、実行力を身につける2.財務会計・管理会計歯科医院の収益管理と コストコントロール
元のページ ../index.html#16