10時間でわかる歯科経営学
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ケース1 新人歯科衛生士が、初めて対応する患者さんへデンタルフロスの指導を行っています。しかし、患者さんは不機嫌で目も合わせずに帰ってしまいました。上司のあなたは何が原因だと考えますか?3.ビジネスプレゼンテーションとファシリテーション 歯科衛生士で経営学修士の穴沢有沙です。本項では、経営学と心理学の両面から、自分も相手も心地よい、設定したゴールを手にできるテクニックをお伝えします。ミーティングのときにスタッフの前で話すのは緊張する、思ったように患者さんに伝えたいことが伝わらないという経験がある方は、ぜひ実践してみてください。感覚ではない、再現性のある方法をご紹介します。 ここでいう「ビジネス」とは、「仕事」や「診療」と置き換えるとわかりやすいかもしれません。経営者がスタッフへ、スタッフが上司へ、医療者が患者さんへなど、私たちは日々の診療のなかで、プレゼンをすることも、プレゼンを受けることもあります。よいプレゼンの要素とは何か。「話し手が伝えたいメッセージ」が「聴き手の知りたかったこと」に整合していることがその答えです。 では、話し手の目的と聴き手の知りたいことを整合させるために行う「準備」と「伝える技術」をみていきましょう。 まず、この歯科衛生士の目的は何だったのでしょうか。デンタルフロスの提案、口腔内環境の改善、ホルダー式から指巻きフロスへの転換など、さまざまな目的があるでしょう。そして、患者さんの状況は知っていたのでしょうか。現在デンタルフロスを使用しているのか・知っているけど使用していないのか・使ったことはあるが何かしらの理由で使用していないのか、当院に来院されるのは今日がはじめてなのか・何年も前から通っているのか、これまでに他の歯科衛生士からどのような保健指導がなされているのか、歯科医院やセルフケア、デンタルフロスに対しての印象やイメージはどうなのか、何を知っていて、何を知らないのか。72 ビジネスプレゼンテーションとは穴沢有沙 (株式会社Blanche/神奈川県・横浜関内矯正歯科ブランシュ/歯科衛生士)第2章 心の基礎と思考力の基礎を育てる3.ビジネスプレゼンテーションとファシリテーションスタッフや患者さんとの効果的な コミュニケーションスキルを身につけよう

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