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書評

歯科医院ではたらくスタッフのための お仕事マナー講座

[著]杉元信代 [絵]あらいぴろよ


これさえ読めば、あなたも立派な医療人!

 鮮やかなピンクの表紙にスポ根を連想させるイラスト。帯には“これさえ読めばあなたも立派な医療人!”。何とも砕けた(?)装丁だなというのが私の第一印象です。堅苦しくなく、手に取りやすく、どんな内容かしらと興味を抱く本だと思います。

 内容は、新人歯科衛生士や卒後2、3年を経て悩み始めるころの歯科衛生士を対象にしたものです。自分の新人歯科衛生士時代を思い起こすと、仕事は先輩の後ろ姿を見て、考え、覚えるものと言われたものです。しかし、こうしたやり方は、いまどき時代遅れなのかもしれません。世話好きな面倒見のよい先輩や上司は、現代では少なくなってしまったのが現実でしょう。そこで、本書のようなハウツー本は役に立ちます。インターネットで調べるだけではなかなか解決できない、人を相手にする医療現場での疑問を、本書は解決してくれます。

 ページをめくると、ポイントを示すピンク色のマーカーが目に入り、参考書に蛍光ペンを引いたような演出が施されています。左ページにイラスト、右ページに説明という見開き1ページで完結する展開になっていて、読みやすく、読み手を飽きさせない工夫が散りばめられています。

 各歯科医院によって、決まりごとやルーティンワークはさまざまですが、基本的な「お仕事マナー」は普遍的なものです。本書にはそうした「お仕事マナー」として、コミュニケーションの取り方、スキルアップ方法、仕事を続けていくためのハウツーなどが示されています。「お仕事マナー」の解説を読み込み、歯科衛生士としての経験と照らし合わせることで、その基礎を構築していく教科書として活用することもできると思います。堅苦しい内容はありませんので、読書が苦手な方でも、リラックスしてあっという間に読破できると思います。“こんなときはどうしたらいいのかな?”と思ったときに、パラパラと読んで参考にするような使い方もよいかもしれません。

 著者・杉元信代さんにとっては、歯科衛生士と心理カウンセラーの経験の蓄積をまとめた、集大成ともいうべき作品に仕上がっていると思います。こよなく愛するプロレスのパラパラマンガ(イレバッチvsマスクマン)や、ページの隅に書き込まれた偉人の言葉など、関西人ならではの感覚(遊び心)も垣間見えて、読む人を楽しませてくれます。

 本書はとくに、新人歯科衛生士にお勧めしたいです。

 “マナーを身につけこころ美人。いつも気持ちよく笑顔で迎え、不安な思いを安心に変える心配りのできる歯科衛生士に”。本書は読者にエールを送ってくれます。

 “夢を見るから人生は輝く”(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)。ぜひ心に残るアドバイスを探してみてください。

 これさえ読めばあなたも……、素敵な歯科衛生士になれるはずです。

文・福島陽子
明治安田生命東陽町診療所歯科・歯科衛生士

歯科医院ではたらくスタッフのための お仕事マナー講座

歯科医院ではたらくスタッフのための
お仕事マナー講座

[著]杉元信代 [絵]あらいぴろよ

B5判変形・120頁
定価(本体3,000円+税)


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