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書評

歯周病治療の臨床 疾患改善のキモは歯科医師にアリ!

[編集委員]飯野 文彦 大八木孝昌


 私は、歯科衛生士として歯周病専門歯科医院に勤務して29年目になります。卒後間もないころから、「日本人の8割が歯周病に罹患している」と、耳にしてきました。歯周病は“Silent Disease”と言われ、自覚症状が少ない疾患です。そのため、発見が遅れ、重症化してから来院される患者さんも数多くいます。

 みなさんは、歯周病に罹患していた患者さんが来院された場合、正しい情報を患者さんに伝えることができるでしょうか? ただ単に、「歯磨きを丁寧に!」では、歯周病治療の情報提供としては不十分です。

 本書では、歯周病を治すためには何が必要かが整理され、押さえておくべきポイント、ヒントがわかりやすく説明されています。まさに、明日からの臨床にすぐに役立つ内容がまとめられており、患者さんに正しい情報を伝える一助になる一冊だと思います。本書の記事から、執筆された先生方の、歯周病治療に対する真剣かつ熱い思いが伝わってきます。

 本書は、序章「歯周病原性細菌と免疫」、第1章「歯周基本治療」、第2章「歯周外科処置」、第3章「歯周病と全身疾患」、第4章「咬合治療」、第5章「SPT・メインテナンス」で構成され、さらにその下に細分化された項目が解説されています。

 第1章「プラークコントロール」の項では、編集委員を務める飯野文彦先生が行っているプラークコントロールについて解説されています。そのなかで『歯科医療従事者側は「歯周治療にはプラークコントロールが大切である」と患者に理解させるだけでは、まったく効果は得られないことを知るべきである。歯周病の病因と治療法を理解させるだけでなく“歯周病治療の歯磨き”を身につけさせなければ、治癒どころか症状の軽減すら望めない。「セルフ・プラークコントロールの確立」した患者の歯周組織は、顕著な改善が認められるのである。』とあります。基本中の基本ですが、忘れてはならないことです。

 ここでの肝は、“歯周病治療の歯磨き”、“セルフ・プラークコントロールの確立”です。実際に歯周基本治療に携わっている先生だからこその一文だと、感銘を受けました。

 歯周病治療についての理解を深めるために、本書をスタッフ全員で熟読し、立場が違うそれぞれの専門家(歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付)が意見を出し合い、共通の認識をもつことは有意義だと思います。

 これからも、患者さんの協力のもと、スタッフ全員で国民病となった歯周病に立ち向かい、少しでも罹患者が減少することを切に願っています。歯科衛生士として歯周病治療の基本に立ち返り、視野を広げるために、本書をみなさんの臨床に活用してみてはいかがでしょうか?

 歯周病治療は奥が深いです。歯周病を治すために、歯を保存するために、患者さんを中心としたチームワークが必要不可欠であることは言うまでもありません。

文・東 裕美
東京都・長谷川歯科医院・歯科衛生士

歯周病治療の臨床 疾患改善のキモは歯科医師にアリ!

歯周病治療の臨床
疾患改善のキモは歯科医師にアリ!

[編集委員]飯野 文彦 大八木孝昌

A4判変型・176頁・オールカラー
定価(本体5,000円+税)


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