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書評

月刊 池田雅彦 ~ブラキシズムは治る! 1,600症例から見えたこと~

[著]池田雅彦


睡眠時ブラキシズムの評価と自己暗示療法で臨床力UP!!

 ブラキシズムの研究に長い間取り組まれてきた親愛なる池田雅彦先生が、「ブラキシズム」の本を出版した。ブラキシズムは、歯周病、修復物脱落、歯の破折、顎関節症と関係が深く、本書を読めば、これらの予防と治療において極めて有効である。

本書の特徴
本書は池田先生が行った臨床研究をもとに、臨床応用可能な「ブラキシズムの評価法と治療法」を1ヵ月で学習できるよう極めてわかりやすく、要点をついた内容となっている。
池田先生は北大歯学部の1回生で、私が助教授をしていた歯周病学講座に入局して研究を行った。1976年、基本治療を重視した歯周治療をしっかり行いたいと開業し、患者全員の口腔内写真を撮影して経過観察を行っている。その結果、歯周病患者には「治りやすい者」と「治りにくく進行する者」がおり、後者は咬合性外傷、とくにブラキシズムが強く関与していると考え、ブラキシズムの研究を開始した。私も協力したが、池田先生は患者1,600人を調査しており、本書はその熱意と努力の結晶である。

ブラキシズムの研究の難しさ
ブラキシズムの研究は、大学で筋電図を用いて行われてきた。私も1968年、恩師の石川 純先生とともに北大に移って研究を開始し、北海道医療大の教授となってからは治療室にブラキシズム研究用のベッドを設置し、無線で筋電図・歯の接触などを記録した。さらに北大教授になり、今度は患者が自宅で筋活動を記録する装置を試作したが、装置の装着とデータ解析が難しく臨床応用は困難であった。他の大学の研究からも、臨床応用できる診査・治療法は開発されていない。

池田先生の臨床研究をもとにした評価法と治療法
池田先生は、患者にオクルーザルスプリント(ナイトガード)を一定期間装着させ、そのファセットを調べ、ブラキシズムを評価する方法を開発した。ジーシー社と共同で診断に適した硬さのスプリント用レジンと、ファセットを判定しやすくするマーカーを開発し、客観性を高めている。さらに、ファセットの状態からブラキシズムの強さを3段階に評価している。これらをもとに困難とされている治療法に取り組み、睡眠時ブラキシズムの自己暗示療法を行い、その有効性と成功させるうえで大切な要点を明確にしている。
本書は、ブラキシズムの評価法を丁寧に解説するとともに、睡眠時ブラキシズムの自己暗示療法の要点を明記している。本書を用いてブラキシズムの評価法をマスターし、さらに自己暗示療法を学べば、臨床力が高まること間違いない。ぜひ本書を手もとにおき、日常臨床に用いることをお勧めする。

文・加藤 熈
北海道大学名誉教授/加藤歯周病研究所所長

月刊 池田雅彦 ~ブラキシズムは治る! 1,600症例から見えたこと~

月刊 池田雅彦
~ブラキシズムは治る!
1,600症例から見えたこと~

[著]池田雅彦

A4判・48頁・オールカラー
定価(本体3,000円+税)


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